抗GD2抗体ユニツキシン、大量化学療法後の神経芽腫に対する効能・効果で国内承認
2021/07/19
文:がん+編集部
大量化学療法後の神経芽腫の治療薬として、ジヌツキシマブ(製品名:ユニツキシン)が国内承認されました。
ユニツキシン、医師主導試験により神経芽腫の治療法として安全性と有効性を確認
大原薬品工業は6月23日、抗GD2抗体ジヌツキシマブが「大量化学療法後の神経芽腫」の治療薬として厚生労働省より製造販売承認されたことを発表しました。今回の承認は、国内で実施されたGD2-PI試験とGD2-PII試験の結果に基づくものです。この2つの試験は、大阪市立総合医療センターにより医師主導試験として実施されました。
GD2-PI試験は、再発の神経芽腫または高リスク治療寛解神経芽腫の患者さんを対象に、「ジヌツキシマブ+フィルグラスチム+テセロイキン」併用療法の忍容性を評価した第1/2a相試験です。
GD2-PII試験は、高リスク治療寛解神経芽腫の患者さんを対象に、「ジヌツキシマブ+フィルグラスチム+テセロイキン」併用療法と、神経芽腫の治療法として米国で承認されている併用療法を比較し、非劣性※を確認する目的で行われた第2b相試験です。主要評価項目は2年間の無イベント生存率でした。試験の結果、「ジヌツキシマブ+フィルグラスチム+テセロイキン」併用療法の非劣性が認められ、安全性でも大きな違いは認められませんでした。
神経芽腫は、小児がんの中でも白血病、脳腫瘍に次いで多いがんで、発症のピークは0~3歳です。早期には無症状ですが、進行や転移を起こすと頭のこぶ、目の腫れ、手足の痛み、貧血や青あざなどの症状が現れます。国内の神経芽腫発症者数は毎年最大で160人程度といわれています。
神経芽腫は、5つの因子により低・中・高にリスク分類され、低~中リスクの患者さんの治癒率は90%以上ですが、約4~6割の患者さんは高リスクで、5年生存率は50%以下です。低~中リスクの患者さんは、無治療での経過観察または化学療法や腫瘍の摘出術が行われ、高リスクの患者さんは化学療法、外科治療、放射線治療、自己幹細胞移植を併用する大量化学療法などを組み合わせた治療が行われます。
今回新たに承認されたジヌツキシマブは、神経芽腫に高発現しているGD2と結合することで、神経芽腫細胞を攻撃する分子標的薬です。
※:非劣性とは、「効果は許される範囲内で劣る可能性はあるが、それを上回るメリットがある」ということです。