「レラトリマブ+オプジーボ」、切除不能・転移性悪性黒色腫に対する一次治療としてEMAが申請を受理

2021/11/15

文:がん+編集部

 切除不能または転移性の悪性黒色腫に対する一次治療として、「レラトリマブ+ニボルマブ(製品名:オプジーボ)」併用療法の申請を欧州医薬品庁(EMA)が受理しました。

「レラトリマブ+オプジーボ」、RELATIVITY-047試験で病勢進行または死亡リスクを25%低下

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は10月1日、進行期の悪性黒色腫の成人および小児患者さんに対する一次治療薬として、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法の申請をEMAが受理したことを発表しました。今回の申請は、RELATIVITY-047試験の結果に基づくものです。

 RELATIVITY-047試験は、未治療の切除不能または転移性悪性黒色腫患者さん714人を対象に、「レラトリマブ+ニボルマブ(固定用量)」併用療法とニボルマブ単剤療法を比較した2/3相臨床試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、奏効率でした。

 試験の結果、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法の無増悪生存期間の中央値は10.12か月、ニボルマブ単独は4.63か月で、病勢進行または死亡リスクを25%低下しました。悪性黒色腫に対する標準治療の抗PD-1抗体単独療法と比べ、併用療法が統計学的有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間の改善を初めて示した試験です。

 安全性に関して、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法の安全性プロファイルは管理可能で、これまでに報告されたものと一貫していました。グレード3~4の治療に関連する有害事象は、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法18.9%、ニボルマブ単剤9.7%でした。投与の中止につながる有害事象は、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法14.6%、ニボルマブ単剤6.7%で認められました。

 リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)は、エフェクターT細胞および制御性T細胞に発現する細胞表面分子です。T細胞の活性を制限する抑制性免疫チェックポイント経路を制御し、がん細胞を攻撃する能力を低下させます。レラトリマブは、LAG-3と選択的に結合することで、疲弊したT細胞のエフェクター機能を回復させます。

 米国食品医薬品局も、進行期の悪性黒色腫の成人および小児患者さんに対する一次治療薬として、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法の申請を優先審査の対象として受理しています。

 同社の腫瘍領域、シニアバイスプレジデント兼腫瘍領域担当開発責任者であるJonathan Cheng氏は、次のように述べています。

 「悪性黒色腫は深刻な疾患になる可能性があり、症例は何年もの間増加しています。RELATIVITY-047試験の結果は、レラトリマブとニボルマブの固定用量配合剤での併用療法が、このがんの進行期の患者さんにとって有効である可能性を示しています。承認された場合、この治療は欧州連合の患者さんにとって最初の治療法として提供できることになるでしょう。我々は、3つ目の異なるチェックポイント阻害薬となるこの併用療法を審査するEMAと協働することを楽しみにしており、進行期悪性黒色腫の患者さんに提供できるようにするためのこの最初のステップを誇りに思っています」