キムリア、再発または難治性の濾胞性リンパ腫を対象としたELARA試験の長期追跡調査で顕著な奏効を示す

2022/02/10

文:がん+編集部

 チサゲンレクルユーセル(製品名:キムリア)が、再発または難治性の濾胞性リンパ腫を対象としたELARA試験の長期追跡調査の結果、顕著な奏効を示したことがわかりました。

キムリア、通常は予後不良な高リスク患者さんの大半で持続的で高い奏効率を達成

 ノバルティスは2021年12月13日、ELARA試験の約17か月の追跡調査に基づく部分集団解析で、チサゲンレクルユーセルが再発または難治性の濾胞性リンパ腫の高リスク患者さんに対し顕著な有効性を示したことを発表しました。

 ELARA試験は、2ライン以上の前治療歴がある再発または難治性の濾胞性リンパ腫を対象に、チサゲンレクルユーセルの有効性と安全性を評価する第2相試験です。主要評価項目は完全奏効率、副次的評価項目は全奏効率、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間、安全性などでした。

 約17か月(中央値)の追跡調査の結果、完全奏効率69%、全奏効率86%、12か月の無増悪生存率67%、9か月奏効維持率76%でした。

 安全性に関しては、ELARA試験の早期の解析で示された良好な安全性プロファイルが継続して認められました。投与後8週間以内で、48%の患者さんにサイトカイン放出症候群が発現しましたが、グレード3以上のサイトカイン放出症候群が発現は認められず、37%に神経系事象が発現し(グレード3以上は3%)、治療と関連のある死亡は認められませんでした。

 今回の部分集団解析の結果から、通常は予後不良な高リスク患者さんの大半で、チサゲンレクルユーセルは持続的で高い奏効率を達成することが示されました。完全奏効率、全奏効率、奏効期間は、解析した9つの部分集団のうち、24か月以内の疾患進行が認められる患者さん、総代謝腫瘍体積が高値の患者さん、5ライン以上の前治療歴のある患者さんの3つの集団を除き、高リスクのほとんどの患者さんで維持されました。

 フランスのパリ第七大学の血液学教授であり、パリのサン・ルイ病院の血液腫瘍学科長であるCatherine Thieblemont医学博士は、次のように述べています。

 「治療に難渋する高リスクの濾胞性リンパ腫患者さんでキムリアによる治療後に持続的な奏効がみられ、重篤な有害事象のリスクも低いことは、本当に素晴らしいことです」