トレメリムマブ、イミフィンジとの併用で切除不能な肝細胞がんに対しFDAが優先審査に指定

2022/05/30

文:がん+編集部

 切除不能な肝細胞がんに対し、トレメリムマブが、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)との併用療法(STRIDEレジメン)として、米国食品医薬品局(FDA)から優先審査の対象に指定されました。

STRIDEレジメン、ソラフェニブと比較して死亡リスクを22%低下

 アストラゼネカは2022年4月25日、「トレメリムマブ+デュルバルマブ」併用療法が、切除不能な肝細胞がんの治療法の適応で、FDAから優先審査の対象に指定されたことを発表しました。今回の優先審査の指定は、HIMALAYA試験の結果に基づくものです。

 HIMALAYA試験は、切除不能な進行肝細胞がん患者さんのうち、全身療法による前治療歴がなく、局所療法(肝臓とその周辺組織の局所療法)の適応とならない患者さん合計1,324人を対象に、デュルバルマブ単剤療法およびSTRIDEレジメンをソラフェニブ(製品名:ネクサバール)と比較した第3相試験です。STRIDEレジメンは、デュルバルマブ1,500mgに加えて、トレメリムマブ300mgを初回単回追加投与し、その後4週間ごとにデュルバルマブを投与する治療法です。

 主要評価項目はソラフェニブと比較したSTRIDEレジメンの全生存期間、主要な副次的評価項目はソラフェニブと比較したデュルバルマブの全生存期間、STRIDEレジメンとデュルバルマブ単剤療法の奏効率、無増悪生存期間でした。

 主要評価項目の解析の結果、STRIDEレジメンはソラフェニブと比較して死亡リスクを22%低下させました。3年生存率はSTRIDEレジメンが31%、ソラフェニブが20%でした。

 STRIDEレジメンおよびデュルバルマブ単剤療法の安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

 同社のオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraith氏は、次のように述べています。

 「第3相HIMALAYA試験では、切除不能な肝がんの患者さんを対象に、トレメリムマブの単回投与によるプライミングをイミフィンジに追加したところ、顕著な3年全生存率が認められており、このレジメンによって生存期間を延長できる可能性が明確に示されています。進行肝がんの患者さんでは新たな治療選択肢が切実に求められていることから、当社はFDAと緊密に連携し、この新たな治療法を米国の患者さんに1日でも早くお届けできるように努めてまいります」