「リムパーザ+ザイティガ」、転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬としてFDAが優先審査項目に指定

2022/09/12

文:がん+編集部

 「オラパリブ(製品名:リムパーザ)+アビラテロン(製品名:ザイティガ)」併用療法が、転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として米国食品医薬品局(FDA)から優先審査指定を取得しました。

「リムパーザ+ザイティガ」、「プラセボ+ザイティガ」と比較して病勢進行または死亡リスクを34%低下

 アストラゼネカと米メルクは2022年8月16日、FDAが、転移性去勢抵抗性前立腺がんの成人患者さんの治療薬として、「オラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン」併用療法の追加承認申請を受理するとともに、同剤を優先審査品目に指定したことを発表しました。今回の追加承認申請は、PROpel試験の結果に基づくものです。

 PROpel試験は、化学療法または新規ホルモン治療薬による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんを対象に、「オラパリブ+アビラテロン」と「プラセボ+アビラテロン」を比較した第3相試験です。主要評価項目は画像診断に基づく無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、2回目の無増悪生存期間、初回の後治療または死亡までの期間などでした。

 試験の結果、「オラパリブ+アビラテロン」は「プラセボ+アビラテロン」と比較して病勢進行または死亡リスクを34%低下しました。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ24.8か月と16.6か月でした。安全性に関しては、これまでに認めらえている両剤の安全性プロファイルと一貫していました。

 アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraith氏は、次のように述べています。

 「転移性去勢抵抗性前立腺がんと診断された患者さんの予後は依然として不良で、深刻なアンメットニーズが残されており、治療選択肢も限られています。今回のニュースは、この適応において、非常に必要性の高い新しい治療選択肢を前進させるさらなる一歩です。承認されれば、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対するPARP阻害薬と新規ホルモン製剤による最初の併用療法となります」

 また、MSD研究開発本部のグローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーであるEliav Barr氏は、次のように述べています。

 「MSDは、さらなる治療法が早急に必要な複雑な疾患である転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんのために、新たな治療選択肢の開発に取り組んでいます。HRR遺伝子変異の有無にかかわらず、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに新たな治療選択肢をもたらすという目標に向けて、FDAと協力していけることを期待しています」