「ニュベクオ+ドセタキセル」、転移性ホルモン感受性前立腺がんの治療薬としてFDAが承認
2022/09/14
文:がん+編集部
転移性ホルモン感受性前立腺がんの治療薬として、「ダロルタミド(製品名:ニュベクオ)+ドセタキセル」併用療法を、米国食品医薬品局(FDA)が承認しました。
「ニュベクオ+アンドロゲン遮断療法+ドセタキセル」、「アンドロゲン遮断療法+ドセタキセル」と比較して死亡リスクを32.5%低減
バイエル社は2022年8月8日、転移性ホルモン感受性前立腺がんの治療薬として、「ダロルタミド+ドセタキセル」併用療法が、FDAから承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、ARASENS試験の結果に基づくものです。
ARASENS試験は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さん1,306人を対象とした、「ダロルタミド+アンドロゲン遮断療法+ドセタキセル」併用療法と「アンドロゲン遮断療法+ドセタキセル」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は去勢抵抗性前立腺がんに進行するまでの期間、次治療開始までの期間、症候性骨関連事象無発現生存期間、症候性骨関連事象初回発現までの期間、オピオイド初回使用までの期間、疼痛増悪までの期間、身体症状悪化までの期間などでした。
試験の結果、「ダロルタミド+アンドロゲン遮断療法+ドセタキセル」併用療法は、「アンドロゲン遮断療法+ドセタキセル」と比較して、死亡リスクが32.5%低減しました。
マサチューセッツ総合病院がんセンターの泌尿生殖器悪性腫瘍プログラム責任者であるマシュー・スミス医師は、次のように述べています。
「アンドロゲン遮断療法+ドセタキセルにダロルタミドを加えた併用療法は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんにおいて全生存期間を有意に延長し、同時に良好な安全性プロファイルを示しています。ダロルタミドの今回の適応追加は、これまでにも実証されてきた本剤の良好な忍容性を有し、患者さんに新たな治療選択肢を提供できるものであるため、特に意義が深いものです」
また、前立腺がん財団の会長兼CEOであるチャールズ・ジェイ・ライアン医師は、次のように述べています。
「前立腺がんは米国男性において最も多いがんであり、限局性前立腺がんと比較して転移性ホルモン感受性前立腺がんと診断された患者さんの生存率は劇的に低下します。今回の承認により、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんとその医師に、異なる治療法の選択肢がさらに追加されることになります」