エンハーツ、HER2低発現の手術不能または転移性乳がんの適応としてECが承認

2023/02/14

文:がん+編集部

 トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)が、「HER2低発現の手術不能または転移性乳がん」を適応として、欧州委員会(EC)からの承認を取得しました。

エンハーツ、HER2低発現の乳がんを対象に欧州で承認された初めての抗HER2療法

 第一三共株式会社とアストラゼネカは2023年1月26日、トラスツズマブ デルクステカンが、「転移再発で化学療法を受けた(周術期化学療法による治療期間中または終了後6か月以内に再発した場合を含む)HER2低発現の手術不能または転移性乳がん」を適応として、EUから一部変更承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、DESTINY-Breast04試験の結果に基づくものです。

 DESTINY-Breast04試験は、転移再発で化学療法を受けたHER2低発現の手術不能または転移性乳がん患者さんを対象に、トラスツズマブ デルクステカンと化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルのいずれか)を比較した第3相試験です。主要評価項目は、ホルモン受容体(HR)陽性の患者さんに対する無増悪生存期間、主な副次的評価項目は、全患者さんの無増悪生存期間、HR陽性の患者さんと全患者さんの全生存期間、客観的奏効率などでした。

 解析の結果、HR陽性の患者さんに対する解析では、トラスツズマブ デルクステカンは化学療法と比較して病勢進行または死亡リスクを49%低下。また、全患者さんに対する無増悪生存期間の解析では、病勢進行または死亡リスクが50%低下しました。

 安全性に関しては、グレード3以上の有害事象は、トラスツズマブ デルクステカンを投与された患者さんの52.6%、化学療法を受けた患者さんの67.4%で認められました。

 トラスツズマブ デルクステカンは、欧州においてHER2低発現の乳がんを対象に承認された初めての抗HER2療法です。

 両社は、次のように述べています。

 「HER2低発現の転移再発乳がん治療における新たな選択肢を提供することで、欧州のより多くのがん患者さんに貢献してまいります」