相談:転移なしの前立腺がん、治療選択は?

放射線治療 手術(外科治療) 治療選択

前立腺がんと診断されました。PSA値は44.56、生検では16本中11本にがんを確認、グリソンスコアは4+5、がんは周囲に浸潤していないようですが、骨やリンパ節への転移の状況は未確定です。医師の話では、転移がなければ、放射線治療よりも手術(手術の方が根治できる可能性が高い)を勧める、転移があればホルモン療法+放射線治療となるだろうとのことでした。転移がなく、このような状態では、やはり手術を選択するのが妥当でしょうか?

(本人、男性)

回答:手術と放射線治療、治療成績に大きな違いはなく、治療選択は患者さんの意向も考慮

前立腺がんの治療に関して、がんプラスに掲載されている記事から、ポイントをご案内します。

転移のない前立腺がんの治療
・転移のない前立腺がんの治療は、手術、放射線療法どちらも選択肢となります
・手術と放射線治療は、治療成績に大きな違いはないとされています
・手術と放射線治療で異なるのは、主に治療期間や治療に伴う一時的な合併症の種類です
・そのため、治療方針の決定に際しては、患者さんの意向も重要視されます
・手術と放射線治療のそれぞれで、医学的に治療が難しい場合があります
・過去に骨盤内手術の経験がある場合、手術は避けられる傾向にあります
・血液が固まりにくくなるお薬を服用している患者さんや全身麻酔に危険を伴う患者さんでは手術は不向きです
・放射線治療では、過去に前立腺に一定量以上の放射線が照射されている場合や、仰向けで安静な姿勢が保てない患者さんなどは不向きです

手術のメリットとデメリット
・メリットは、前立腺肥大に伴う排尿困難も解消できることです
・デメリットは、手術後にパッドが必要な尿失禁が持続する可能性や、勃起機能が障害される確率が高いことです
・勃起機能を維持するため、勃起神経温存術という手術方法もありますが、この方法でも勃起不全の発生率は放射線治療と比べて高めです
・手術直後の合併症はありますが、勃起不全を除けば、放射線治療とは違い、治療後数年後になって初めて合併症が出現することはありません

放射線治療のメリットとデメリット
・メリットは、外来通院で治療が可能で、痛みなどはなく、勃起機能も当面温存されやすくなります
・デメリットは、頻度は低いものの治療の約10年後まで血尿や尿路痛などの排尿障害や血便などの排便障害が一時的に起こる可能性があることです
・これらの症状は治療を要することなく数か月から1年超で消失することが多いですが、まれに重症化することもあります
・1%未満の頻度ですが、数十年後に放射線を照射した付近の膀胱、直腸、筋肉・骨などに放射線治療に伴うがんが発生することがあります

病態はそれぞれの患者さんで異なります。...

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