ルスパテルセプト、低リスク骨髄異形成症候群に伴う貧血に対する効能・効果で国内申請
2023/06/06
文:がん+編集部
低リスク骨髄異形成症候群に伴う貧血に対する効能・効果について、赤血球成熟促進薬ルスパテルセプト(製品名:Reblozyl)が国内申請されました。
輸血以外の新たな治療選択肢として期待
ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年5月18日、血球成熟促進薬であるルスパテルセプトについて、低リスク骨髄異形成症候群に伴う貧血に対する適応症の取得を目的として、日本国内における製造販売承認申請を行ったことを発表しました。今回の承認申請は、MDS-003試験、COMMANDS試験、MEDALIST試験の結果に基づくものです。
MDS-003試験は、リスク分類が「とても低い」「低い」「中程度」の骨髄異形成症候群で、赤血球輸血を必要としない貧血がある患者さんを対象に、ルスパテルセプトを評価した国内第2相試験です。主要評価項目は1~24週目までの期間における、血液学的改善‐赤血球反応でした。
COMMANDS試験は、赤血球造血刺激因子製剤の治療歴のない、リスク分類が「とても低い」「低い」「中程度」の骨髄異形成症候群に伴う赤血球輸血が必要な貧血がある患者さんを対象に、ルスパテルセプトを評価した国際共同第3相試験です。主要評価項目は、1~24週目の期間における、平均1.5g/dL以上のヘモグロビン値上昇を伴う12週間(84日間)以上の輸血非依存性でした。
MEDALIST試験は、赤血球造血刺激因子製剤の投与に対して不応、不耐容または不適格で、環状鉄芽球があり、リスク分類が「とても低い」「低い」「中程度」の骨髄異形成症候群に伴う赤血球輸血が必要な貧血がある患者さんを対象に、ルスパテルセプトを評価した海外第3相試験です。主要評価項目は、1~24週目までの期間における、8週間(連続56日間)以上の輸血非依存性でした。
骨髄異形成症候群は、疾患の経過とともに約80%~90%の患者さんが貧血を発症します。貧血を発症した骨髄異形成症候群患者さんの多くは、正常な赤血球の循環量を確保するために定期的な輸血が必要となりますが、頻繁な輸血によって鉄過剰症、輸血反応、輸血血液からの感染など多くのリスクにさらされ、輸血の負荷が高くなると低リスクの骨髄異形成症候群の患者さんでも生存率を低下させることが報告されています。
骨髄異形成症候群に伴う貧血に適応を有する薬剤は非常に限られており、既存治療と比較して、より有効性および利便性が高く、幅広い患者さんに使用可能な貧血治療薬が望まれています。
同社の研究開発本部長の杉田真は、次のように述べています。
「これまで、骨髄異形成症候群に伴う貧血の基本的な支持療法は輸血でした。また、国内では骨髄異形成症候群に伴う貧血の治療選択肢も限られていました。今回、低リスク骨髄異形成症候群に伴う貧血の治療薬として、ルスパテルセプトの承認申請を提出できたことを大変嬉しく思います。ルスパテルセプトが、低リスク骨髄異形成症候群患者さんにとって、有効な新しい治療選択肢となることを願っています」