胃がん・食道胃接合部がん対象に「イミフィンジ+化学療法」を評価、MATTERHORN試験の中間解析結果を発表

2023/06/30

文:がん+編集部

 切除可能な早期の胃がん・食道胃接合部がんに対する術前化学療法として「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+化学療法」を評価した、MATTERHORN試験の中間解析結果を発表。病理学的完全奏効率の有意な改善が認められました。

「イミフィンジ+化学療法」、「プラセボ+化学療法」と比較して病理学的完全奏効率を統計学的に有意に改善

 アストラゼネカは6月2日、MATTERHORN試験の事前に計画された中間解析の良好な結果概要を発表しました。

 MATTERHORN試験は、切除可能な、ステージ2~4A期の胃がん・食道胃接合部がんの患者さん958人の患者さんを対象に、周術期治療として「デュルバルマブ+FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)」と「プラセボ+FLOT」を比較した第3相試験です。周術期治療には、術前術後の治療が含まれます。主要評価項目は無イベント生存期間、主要な副次評価項目は、全生存期間、病理学的完全奏効率などでした。

 中間解析の結果、「デュルバルマブ+FLOT」は「プラセボ+FLOT」と比較して病理学的完全奏効率の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が認められました。

 Vall d’Hebron University Hospitalの腫瘍内科部長であり、MATTERHORN試験の国際治験調整医師でもあるJosep Tabernero医学博士は、次のように述べています。

 「切除可能な胃がん/食道胃接合部がんの患者さんは、現在、根治目的で手術を受けても4分の1の患者さんは1年以内に病勢進行してしまうため、より良い治療選択肢を緊急に必要としています。今回の結果から、術前のFLOTによる化学療法にイミフィンジを追加投与することで、病理学的完全奏効率が改善したことが示されました。複数の疾患において、病理学的完全奏効率は、無イベント生存期間と全生存期間の両方に相関していることから、本試験の対象である患者さんにとっても、このレジメンが長期的な臨床上のベネフィットをもたらす可能性があり、今後に期待の持てる結果となりました」