進行悪性胸膜中皮腫を対象にキイトルーダ併用療法を評価した「CCTG IND.227/KEYNOTE-483試験」の結果を発表

2023/07/21

文:がん+編集部

 切除不能な進行悪性胸膜中皮腫の一次治療として、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)併用療法を評価したCCTG IND.227/KEYNOTE-483試験の結果が発表され、全生存期間の有意な改善が認められました。

「キイトルーダ+化学療法」併用療法、化学療法と比較して死亡リスクを21%低下

 米メルク社とCanadian Cancer Trials Group(CCTG)は2023年6月3日、CCTG IND.227/KEYNOTE-483試験の結果を発表しました。

 CCTG IND.227/KEYNOTE-483試験は、切除不能な進行悪性胸膜中皮腫を対象に、「ペムブロリズマブ+化学療法(ペメトレキセド、シスプラチンまたはカルボプラチン)」併用療法と化学療法を比較した第2/3相試験です。第3相試験パートでは登録患者さん440人がいずれかのグループに割り付けられました。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間、客観的奏効率、安全性、生活の質などでした。

 主要評価項目の解析の結果、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、死亡リスクを21%低下。全生存期間の中央値は、それぞれ17.3か月と16.1か月でした。

 副次的評価項目の無増悪生存期間の解析では、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、病勢進行または死亡リスクを20%低下。それぞれの中央値は、7.13か月と7.16か月でした。また、12か月時点での無増悪生存率は、それぞれ26%と17%でした。客観的奏効率は、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して有意に高く、それぞれ62%と38%でした。

 安全性に関しては、これまでに報告された安全性プロファイルと一貫していました。グレード3または4の有害事象は、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法は27%、化学療法は15%で発現しました。「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法で最も頻度の多高いグレード3以上の有害事象は、疲労(7%)、悪心(5%)、発熱性好中球減少症(5%)で、化学療法ではそれぞれ6%、1%、1%でした。「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法で投与中止に至った有害事象は16%で認められました。

 CCTGのInvestigational New DrugプログラムのディレクターでIND.227試験の上席治験責任医師のLesley Seymour博士は、次のように述べています。

 「悪性胸膜中皮腫は進行してから診断されることが多く、進行してからの5年生存率はわずか12%で、手術で根治させることはできません。この試験ではペムブロリズマブをプラチナ製剤+ペメトレキセドに追加することで、PD-L1の発現状況にかかわらず、全生存期間、無増悪生存期間、客観的奏効率がプラチナ製剤+ペメトレキセド単独と比較して有意に改善しました。このレジメンは進行悪性胸膜中皮腫の新たな治療の選択肢となる可能性があります」

 また、米メルク社の研究開発本部のグローバル臨床開発担当バイスプレジデントのGregory Lubiniecki博士は、次のように述べています。

 「今回の結果は、キイトルーダ+化学療法が、治療の選択肢が限られている進行悪性胸膜中皮腫の新たな一次治療の選択肢となる可能性を示すものです。私たちは、新たな難治性の腫瘍を対象にキイトルーダを評価する広範な臨床開発プログラムや研究を行っています。今回のデータは、その中でも様々な呼吸器がん患者さんのアウトカムを改善する当社の取り組みの結果を示すものとなります」