リムパーザ、BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんを効能・効果として国内承認

2023/09/19

文:がん+編集部

 オラパリブ(製品名:リムパーザ)とアビラテロン(製品名:ザイティガ)の併用療法が、BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療法として国内承認されました。

「リムパーザ+ザイティガ」、無増悪生存期間と全生存期間のいずれでも臨床的に意義のある延長を示す

 アストラゼネカ株式会社とMSD株式会社は2023年8月24日、オラパリブとアビラテロンとの併用療法が、BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する国内承認を受けたたことを発表しました。今回の承認は、PROpel試験のサブグループ解析の結果に基づくものです。

 PROpel試験は、転移性去勢抵抗性前立腺がんと診断された後に化学療法および新規ホルモン製剤による治療歴のない患者さんを対象に、オラパリブ・アビラテロン併用療法「オラパリブ+アビラテロン+(プレドニゾンまたはプレドニゾロン)」と、アビラテロン単独療法「プラセボ+アビラテロン+(プレドニゾンまたはプレドニゾロン)」を比較した第3相試験です。主要評価項目は画像診断による無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間、二次進行または死亡までの期間、初回の後治療までの期間などでした。

 解析の結果、画像診断による無増悪生存期間および全生存期間のいずれにおいても臨床的に意義のある延長を示しました。アビラテロン単独療法の患者さんでは、画像診断による無増悪生存期間の中央値および全生存期間の中央値が8.4か月と23.6か月であったのに対し、オラパリブ・アビラテロン併用療法の患者さんでは増悪や死亡が少なく、それぞれ中央値の検出基準に未到達でした。

 慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室の大家基嗣教授は、次のように述べています。

 「PROpel試験のデータから、リムパーザとアビラテロンの併用によって、BRCA陽性の転移性前立腺がん患者さんにおける臨床的に意義のある転帰の改善が示されました。今回の承認により、日本の患者さんは、新たにBRCA陽性の転移性前立腺がんに対する標準治療として期待されるこの新しい併用療法のベネフィットを受けられるようになります」