PD-L1陽性再発・転移性頭頸部がんの一次治療として「レンビマ+キイトルーダ」を評価するLEAP-010試験が中止

2023/09/22

文:がん+編集部

 PD-L1陽性の再発または転移性頭頸部扁平上皮がんの一次治療として、「レンバチニブ(製品名:レンビマ)+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」併用療法を評価するLEAP-010試験の中止が発表されました。

「レンビマ+キイトルーダ」併用療法、キイトルーダ単独と比較して全生存期間の改善を示さず

 エーザイ株式会社と米メルク社は2023年8月25日、LEAP-010試験の中止を決定したことを発表しました。

 LEAP-010試験は、PD-L1陽性の再発または転移性頭頸部扁平上皮がん患者さん511人を対象に、一次治療として、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法とペムブロリズマブを比較する第3相試験です。主要評価項目は、全生存期間、無増悪生存期間、客観的奏効率でした。

 独立データモニタリング委員会により11か月間に2回の中間解析が行われました。1回目の中間解析では、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法はペムブロリズマブと比較して3つの主要評価項目で統計学的に有意な改善を示しました。しかし、2回目の中間解析では、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法はペムブロリズマブと比較して全生存期間の改善が認められず、両社は、全生存期間の統計学的有意性の閾値に達する可能性は低いと判断しました。これらの結果に基づき、両社は、本試験を中止することを決定しました。安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと同様でした。

 米メルク社の研究開発本部グローバル臨床開発のバイスプレジデントであるGregory Lubiniecki博士は、次のように述べています。

 「LEAP-010試験では、本併用療法が、転移性、または切除不能再発頭頸部扁平上皮がんにおいて、すでに確立された治療選択肢であるキイトルーダをベースとした治療レジメンをさらに改善できるかどうかを検討することを目的としました。本試験において、本併用療法は無増悪生存期間について期待される結果を示しましたが、残念ながら、患者さんの全生存期間の延長にはつながりませんでした。我々は、本試験から得られた知見を、本併用療法のさらなる研究のために活用していきます」

 また、エーザイオンコロジーグローバル臨床開発のシニアバイスプレジデントであるCorina Dutcus医師は、次のように述べています。

 「早期段階の中間解析において、レンビマとキイトルーダの併用療法が、2つの主要評価項目を達成していることに勇気づけられていましたが、残念なことに、3つめの主要評価項目である全生存期間については統計学的有意性の基準を満たしませんでした。我々の臨床プログラムは、治療が困難な進行がんへの取り組みを加速するように設計されており、それらの結果が常に我々の期待通りになるとは限りませんが、我々は臨床開発の難しさを理解し、今後も患者様によりよい治療法を提供するための科学的探求に取り組んでいきます」