EGFR陽性局所進行・転移性非小細胞肺がん対象に「タグリッソ+化学療法」を評価したFLAURA2試験の結果発表
2023/10/23
文:がん+編集部
EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がんを対象に、オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)を評価したFLAURA2試験の結果が発表されました。化学療法との併用で、単剤療法と比較して無増悪生存期間の統計学的に有意な改善が認められました。
「タグリッソ+化学療法」併用、単剤療法と比較して無増悪生存期間を9か月近く延長
アストラゼネカは2023年9月11日、FLAURA2試験の結果を発表しました。
FLAURA2試験は、ステージ3B~3Cまたはステージ4のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さん557人を対象に、一次治療としてオシメルチニブ単剤療法と「オシメルチニブ+化学療法(ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン)」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間などでした。
治験担当医による評価では、「オシメルチニブ+化学療法」はオシメルチニブ単剤療法と比較して病勢進行または死亡リスクを38%低下させ、無増悪生存期間の中央値を8.8か月延長しました。独立中央判定による評価では、無増悪生存期間の中央値を9.5か月延長しました。また、性別、人種、EGFR遺伝子変異の種類、診断時の年齢、喫煙歴およびベースライン時の中枢神経系転移の状態など、事前に規定したすべてのサブグループで臨床的に意義のある無増悪生存期間の有益性が認められました。
今回の解析時点での全生存期間のデータは、イベント数が不十分でしたが、「オシメルチニブ+化学療法」は良好な傾向が認められました。
有害事象による安全性結果および中止率は、これまでに報告された安全性プロファイルと一貫していました。グレード3以上の有害事象は、「オシメルチニブ+化学療法」で64%に発生したのに対し、オシメルチニブ単剤療法群では27%でした。
Dana-Farber Cancer Instituteの腫瘍内科医でありFLAURA2試験の治験責任医師であるPasi A.Jänne医学博士は、次のように述べています。
「EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの標準治療であるタグリッソに化学療法を追加したことで、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さんの病勢進行が認められるまでの期間が9か月近く延長しました。これはすでにタグリッソ単剤療法で得られている有効性に基づく結果です。今回発表された確信的なデータにより、局所進行または転移性EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対してタグリッソをベースとした2つの有効な治療選択肢として、タグリッソ単剤療法とタグリッソと化学療法の併用療法がまもなく利用できるようになる可能性があります」