転移性非小細胞肺がんを対象に「レンビマ+キイトルーダ」併用療法を評価した2つの臨床試験の結果を発表

2023/10/25

文:がん+編集部

 EGFR阻害薬、ALK阻害薬、ROS1阻害薬の適応にならない転移性非小細胞肺がんを対象に、レンバチニブ(製品名:レンビマ)とペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用療法を評価したLEAP-006試験とLEAP-008試験の状況が発表されました。

LEAP-006試験とLEAP-008試験、2つの試験ともに主要評価項目を達成せず

 エーザイ株式会社と米メルク社は2023年9月22日、LEAP-006試験とLEAP-008試験の状況を発表しました。2つの試験ともに、主要評価項目を達成しませんでした。

 LEAP-006試験は、EGFR阻害薬、ALK阻害薬、ROS1阻害薬の適応にならない転移性非小細胞肺がんを対象に、一次治療として「レンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法」と「ペムブロリズマブ+化学療法」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、無増悪生存期間、重要な副次的評価項目は奏効率でした。

 最終解析の結果、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法」では「ペムブロリズマブ+化学療法」と比較して全生存期間の改善が認められませんでした。また、無増悪生存期間と奏効率に関しても、より早期の中間解析において統計学的に有意な改善が認められませんでした。

 LEAP-008試験は、EGFR阻害薬、ALK阻害薬、ROS1阻害薬の適応にならない、プラチナ製剤併用化学療法および1種類の抗PD-1/PD-L1抗体による治療中または治療後に増悪した転移性非小細胞肺がんを対象に、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」とドセタキセルを比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、無増悪生存期間、重要な副次的評価項目は奏効率でした。

 最終解析の結果、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」では、ドセタキセルと比較して全生存期間の改善が認められませんでした。また、より早期段階の中間解析において、無増悪生存期間と奏効率についても統計学的に有意な改善が認められませんでした。

 安全性に関しては、両試験ともにこれまでに報告されている安全性プロファイルと一致していました。

 米メルク社の研究開発本部 グローバル臨床開発のバイスプレジデントであるGregory Lubiniecki博士は、次のように述べています。

 「我々は、肺がん研究の先駆者として、キイトルーダによって数年前に築いた標準療法を礎にして、患者さんのために科学を進歩させることに注力しています。今回の両試験の結果は私たちが期待していたものではありませんでしたが、我々は、肺がんの治療において確立したキイトルーダの基礎的な役割を誇りに思っており、治療が困難な患者さんのために、我々の医薬品の有効性を一層改善するべく引き続き研究を重ねていくことにコミットします」

 また、エーザイのオンコロジー グローバル臨床開発のシニアバイスプレジデントであるCorina Dutcus医師は、次のように述べています。

 「非小細胞肺がんの治療は近年著しく進歩していますが、特に標的となるバイオマーカーを持たない患者さんにはいまだ大きなアンメット・ニーズが存在しています。レンビマとキイトルーダの併用療法は、進行性腎細胞がんと進行性子宮内膜がんにおいて生存期間の延長を実証していますが、今回の非小細胞肺がんを対象とした両試験の最終解析において、同様のベネフィットが示されなかったことは残念です。当社は今後も両試験から得た知見を活かし、アンメット・ニーズを有するがん患者さんのために、オンコロジーの研究を推進することに尽力します。ご協力いただいた患者さん、ご家族、医療関係者の皆さまに心より感謝します」