前治療歴がある進行小細胞肺がんを対象に、タルラタマブを評価するDeLLphi-301試験の結果を発表
2023/12/07
文:がん+編集部
前治療で効果が見られなかった進行小細胞肺がんを対象に、タルラタマブを評価するDeLLphi-301試験の結果が発表されました。
タルラタマブ、客観的奏効率は40.0%、無増悪生存期間の中央値は4.9か月、全生存期間の中央値は14.3か月
アムジェン社は2023年10月20日、DeLLphi-301試験の結果を発表しました。
DeLLphi-301試験は、2回以上の前治療が無効だったで効果が見られなかった進行小細胞肺がん患者さんを対象に、3次治療としてタルラタマブを評価した第2相試験です。主要評価項目は客観的奏効率、主な副次的評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、奏効期間などでした。
追跡期間中央値10.6か月での解析の結果、客観的奏効率は40.0%、無増悪生存期間の中央値は4.9か月、全生存期間の中央値は14.3か月、奏効期間の中央値は未到達でした。タルラタマブ10mgによる治療が奏効した患者さんのうち、57.5%は6か月以上奏効が持続し、解析時点で奏効が持続していた患者さんは55.0%でした。
安全性に関しては、第1相試験と比較して、新たな安全性シグナルは認められませんでした。治療に関連した有害事象による中止は3.0%でした。最も多く報告された有害事象は、サイトカイン放出症候群(51.1%)、発熱(31.6%)、味覚異常(25.6%)、食欲減退(23.3%)でした。サイトカイン放出症候群は主に初回投与または2回目投与後に発現したグレード1または2の事象で、概ね対症療法で管理可能でした。グレード3のサイトカイン放出症候群の発現率は0.8%で、グレード3の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群および関連する神経学的事象は認められませんでした。これら2つの有害事象においてグレード4または5の報告はありませんでした。
Doce de Octubre病院 腫瘍内科長、国立がん研究センター肺がんユニット長、およびコンプルテンセ大学 准教授のLuis Paz-Ares医学博士は、次のように述べています。
「現在の小細胞肺がんの3次治療による患者さんの予後は厳しく、奏効率は14~21%であり、全生存期間の中央値は6か月未満です」
また、同社の研究開発担当エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント David M. Reese氏は、次のように述べています。
「小細胞肺がんは、がん治療における最大の課題の一つであり、この致命的ながん腫に対する治療は過去数十年の間ほとんど進歩していません。今回のタルラタマブの結果は、一般的な固形腫瘍に対してのBiTE分子の可能性を示しています。承認申請の可能性のあるこれらのデータについて、規制当局と話し合うことを楽しみにしています」