脳転移があるEGFR陽性の局所進行・転移性肺がんを対象に「タグリッソ+化学療法」を評価した臨床試験の結果を発表
2023/12/19
文:がん+編集部
脳転移があるEGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がんを対象に、「オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)+化学療法」併用療法を評価したFLAURA2試験の結果を発表。脳転移巣の病勢進行リスクの低下が認められました。
「タグリッソ+化学療法」、タグリッソ単剤と比較して中枢神経系における病勢進行または死亡リスクを42%減少
アストラゼネカは2023年10月21日、事前に規定されたFLAURA2試験の探索的解析の結果を発表しました。
FLAURA2試験は、ステージ3B~3Cまたは4のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さん557人を対象に、一次治療として「オシメルチニブ+化学療法(ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン)」併用療法とオシメルチニブ単剤療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間などでした。
脳転移がある患者さんの中枢神経系における無増悪生存期間の解析の結果、「オシメルチニブ+化学療法」併用療法はオシメルチニブ単剤と比較して、病勢進行または死亡リスクを42%減少しました。
また、2年時点における中枢神経系での病勢進行または死亡が認められなかった患者さんの割合は「オシメルチニブ+化学療法」併用療法74%、オシメルチニブ単剤54%でした。さらに、中枢神経系での完全奏効が認められた患者さんの割合も、「オシメルチニブ+化学療法」併用療法59%、オシメルチニブ単剤43%でした。
Gustave Roussy Institute of Oncologyの胸部腫瘍医であり、本治験の治験責任医師であるDavid Planchard医学博士は、次のように述べています。
「タグリッソは血液脳関門を通過することができ、脳転移のない患者さんよりも予後不良となることが多い中枢神経系への転移を伴う肺がん患者さんの転帰を改善することが証明されています。FLAURA2試験では、タグリッソに化学療法を併用することで、中枢神経系への転移を伴う患者さんの半数以上で完全奏効および脳内の腫瘍消失が認められました」