EGFR陽性非小細胞肺がんを対象に「RYBREVANT+ラゼルチニブ」を評価したMARIPOSA試験の結果を発表
2023/12/25
文:がん+編集部
EGFR遺伝子変異がある非小細胞肺がんを対象に、「アミバンタマブ(製品名RYBREVANT)+ラゼルチニブ」併用療法を評価したMARIPOSA試験の結果を発表。オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)と比較した無増悪生存期間の改善が認められました。
「RYBREVANT+ラゼルチニブ」、タグリッソと比較して病勢進行または死亡リスクを30%低減
ヤンセンファーマは2023年10月23日、MARIPOSA試験の結果を2023 欧州臨床腫瘍学会学術集会で報告したことを発表しました。
MARIPOSA試験は、EGFR エクソン19欠失変異またはエクソン21のL858R置換変異がある局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者さん1,074人を対象に、一次治療として「アミバンタマブ+ラゼルチニブ」併用療法と、オシメルチニブおよびラゼルチニブそれぞれの単剤療法とを比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目には全生存期間、全奏効率、奏効期間、最初のランダム化から後続治療後の病勢進行または死亡までの期間、頭蓋内無増悪生存期間などでした。
解析の結果、「アミバンタマブ+ラゼルチニブ」併用療法はオシメルチニブと比較して病勢進行または死亡リスクを30%低減。22か月の追跡期間(中央値)における無増悪生存期間の中央値は、「アミバンタマブ+ラゼルチニブ」併用療法23.7か月に対し、オシメルチニブは16.6か月でした。その他の副次評価項目でも、「アミバンタマブ+ラゼルチニブ」併用療法はオシメルチニブと比較し、人種、EGFR変異の種類、脳転移歴、ECOG指標に基づく全身状態など、あらかじめ規定された患者さんのサブグループ全体で一貫して臨床的に意義のある有効性を示しました。
安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫しており、ほとんどがグレード1または2でした。最も一般的なグレード3以上の治療に関連する有害事象は、発疹と爪囲炎でした。また、「アミバンタマブ+ラゼルチニブ」併用療法では、オシメルチニブと比較して、EGFRと間葉上皮転換関連の有害事象(低アルブミン血症と末梢浮腫)および静脈血栓塞栓症の割合が高く、オシメルチニブでは下痢が高い割合で観察されました。「アミバンタマブ+ラゼルチニブ」併用療法における治療関連有害事象による全治療の中止率は10%でした。間質性肺疾患(肺炎を含む)の割合は、両グループとも3%未満でした。
韓国ソウルのYonsei University College of Medicine Yonsei Cancer Center 内科的腫瘍学部門の腫瘍内科医兼教授であり、発表者のByoung Chul Cho医師は、以下のように述べています。
「EGFR変異を有する非小細胞肺がんの治療は進歩しているものの、耐性や疾患増悪に対処するための新たな標的療法や標的レジメンが必要とされています。MARIPOSA試験におけるRYBREVANTとラゼルチニブの併用療法群では、オシメルチニブ群と比較して、EGFR変異を有する治療歴のない非小細胞肺がん患者さんにおいて、無増悪生存期間が有意に改善しました。この結果は、RYBREVANTとラゼルチニブの併用療法が今後の標準治療の1つとなる可能性を後押しするものです」