TACE対象の肝細胞がんを対象に「イミフィンジ+TACE+ベバシズマブ」を評価したEMERALD-1試験の結果を発表

2024/01/09

文:がん+編集部

 肝動脈化学塞栓療法(TACE)対象の肝細胞がん患者さんを対象に、「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+TACE+ベバシズマブ」併用療法を評価したEMERALD-1試験の結果を発表。無増悪生存期間の改善が認められました。

「イミフィンジ+TACE+ベバシズマブ」、TACE単独と比較して無増悪生存期間を改善

 アストラゼネカは2023年11月9日、EMERALD-1試験の結果を発表しました。

 EMERALD-1試験は、TACE対象の切除不能な肝細胞がん患者さん合計616人を対象に、「デュルバルマブ+TACE」併用後にデュルバルマブ単剤、もしくは「デュルバルマブ+TACE」併用後に「デュルバルマブ+ベバシズマブ」併用療法を増悪まで継続する治療と、TACE単独療法を比較した第3相試験です。主要評価項目はTACEの単独療法と比較した「デュルバルマブ+TACE+ベバシズマブ」併用療法の無増悪生存期間、副次評価項目はTACE単独療法と比較した「デュルバルマブ+TACE」併用療法の無増悪生存期間、全生存期間、患者報告アウトカム、客観的奏効率などでした。

 解析の結果、「デュルバルマブ+TACE+ベバシズマブ」併用療法はTACE単独療法と比較して、統計学的有意かつ臨床的に意義のある延長が認められました。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。

 ピサ大学病院放射線診断・IVR科の教授兼がん画像診断プログラムの責任者であり、本試験の治験責任医師でもあるRiccardo Lencioni氏は、次のように述べています。

 「TACEの対象となる肝がん患者さんは進行または再発する割合が高く、効果的な全身療法による早期介入を受けるチャンスがありません。今回のイミフィンジとベバシズマブとの併用療法の結果は、TACEと免疫療法の併用で無増悪生存期間が有意に延長することを初めて示したもので、予後不良であるこの複雑な疾患の治療に変化をもたらす可能性があります」