前治療歴のある進行腎細胞がん対象、WELIREGを評価したLITESPARK-005試験の最新データ発表

2024/01/10

文:がん+編集部

 前治療歴のある進行腎細胞がんを対象に、belzutifan(製品名:WELIREG)を評価したLITESPARK-005試験の最新データを発表。belzutifanはエベロリムス(製品名:アフィニトール)と比較した無増悪生存期間と客観的奏効率を有意に改善しました。

WELIREG、アフィニトールと比較して無増悪生存期間と客観的奏効率を統計学的有意に改善

 米メルク社は2023年10月21日、LITESPARK-005試験の最新データを発表しました。

 LITESPARK-005試験は、PD-1/L1およびVEGF-TKIによる治療(順次または同時)後に進行した腎細胞がん患者さん746人を対象に、belzutifanとエベロリムスを比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、副次的評価項目は客観的奏効率、奏効期間、安全性などでした。

 解析の結果、belzutifanではエベロリムスと比較した無増悪生存期間と客観的奏効率において、統計学的に有意な改善が認められました。

 事前に規定された1回目の中間解析で、belzutifanはエベロリムスと比較して病勢進行または死亡のリスクを25%低減。2回目の中間解析も1回目の結果と一貫し、病勢進行または死亡のリスクを26%低減しました。

 また、1回目の中間解析時点の客観的奏効率は、belzutifan 21.9%(完全奏効率2.7%)、エベロリムス3.5%(完全奏効率0%)でした。2回目の中間解析時点の客観的奏効率は、belzutifan 22.7%(完全奏効率3.5%)、エベロリムス群は3.5%(完全奏効率0%)でした。

 LITESPARK-005試験の治験責任医師であり、Gustave Roussy Cancer Medicine Department部長のローレンス・アルビジーズ教授は、次のように述べています。

 「免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の両方を標的とする治療後に進行した腎細胞がんの患者さんに対する治療の選択肢は限られています。そのため、この試験において、疾患進行後のさらなる治療の選択肢を喫緊に求めている患者さんに対し、belzutifanがエベロリムスと比較して疾患進行または死亡のリスクを統計学的に有意に低下させ、奏効率が改善したことは重要な前進です」

 また、ダナ・ファーバーがん研究所のLank Center for Genitourinary Oncologyのディレクターでハーバード大学医学部Jerome and Nancy Kohlbergの教授であり、LITESPARK-005試験の研究責任者を務めるトニー・K・コーエイリ博士は、次のように述べています。

 「HIF-2α阻害剤のbelzutifanはファーストインクラスの抗がん剤であり、腎細胞がんに対して非常に良好な臨床結果を早期に示しました。LITESPARK-005試験の結果はVEGFRとPD-1/L1の両方を標的とする治療後に進行した腎細胞がんの成人患者さんのさらなる治療の選択肢に対するアンメットメディカルニーズを満たすための第一歩となります。LITESPARK臨床開発プログラム全体で腎細胞がんの一次治療、二次治療、術後補助療法についても治験を行っており、今後の結果にも期待しています」