再発・難治性の多発性骨髄腫を対象にアベクマを評価したKarMMa-3試験の最終解析の結果を発表
2024/02/21
文:がん+編集部
再発・難治性の多発性骨髄腫を対象に、イデカブタゲン ビクルユーセル(製品名:アベクマ)を評価したKarMMa-3試験の最終解析の結果を発表。持続的な無増悪生存期間が認められました。
アベクマ、標準治療と比較して病勢進行または死亡リスクを51%低減
ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年12月11日、KarMMa-3試験の最終解析の結果を発表しました。
KarMMa-3試験は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む2~4レジメンの前治療歴がある再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、イデカブタゲン ビクルユーセルと標準治療を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次評価項目は奏効率、全生存期間などでした。
中央値30.9か月の追跡調査の結果、イデカブタゲン ビクルユーセルは標準治療と比較して病勢進行または死亡リスクを51%低下させました。無増悪生存期間の中央値は、イデカブタゲン ビクルユーセル13.8か月で標準治療4.4か月でした。また、引き続き高い奏効率と深い奏効が認められ、奏効率はイデカブタゲン ビクルユーセルは71%で標準治療は41%、完全奏効率はそれぞれ44%と5%でした。
安全性に関しては、おおむね予測可能で、新たな安全性シグナルは認められませんでした。発現したサイトカイン放出症候群と神経毒性の大半が低グレードで、サイトカイン放出症候群と神経毒性の発現率は、中間解析時点と一貫していました。グレードを問わないサイトカイン放出症候群の発現率は88%、グレード3/4のサイトカイン放出症候群の発現率は4%、グレード5のサイトカイン放出症候群は1%で発現しました。グレードを問わない神経毒性は15%で発現し、グレード3/4の神経毒性の発現率は3%、グレード5の事象は報告されませんでした。
スペインのパンプローナにあるナバラ大学病院血液内科のPaula Rodriguez-Otero医学博士は、次のように述べています。
「KarMMa-3試験のより長期の追跡調査では、3クラスの薬剤による治療歴を有する多発性骨髄腫に対するアベクマの有意な臨床的ベネフィットが引き続き認められ、より早期の治療段階でアベクマを使用することで、長期の疾患管理と寛解を実現する可能性が示されています。後期治療ラインにおける実臨床実績が最も長いCAR T療法として、また、臨床的に意義のあるベネフィットおよび十分に確立されおおむね予測可能な安全性プロファイルを示すこれらの最新データに基づき、アベクマは、3クラスの薬剤による治療歴を有する再発および難治性多発性骨髄腫のどの治療ラインにおいても、革新的な治療選択肢となる可能性を有しています」
また、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター血液悪性腫瘍部門のSergio Giralt医師は、次のように述べています。
「KarMMa-3試験のクロスオーバーの調整により、この抗BCMA CAR T細胞療法がもたらす生存ベネフィットの一貫した傾向が明確に示され、アベクマがこれらの患者さんの重要な治療選択肢となる可能性が明らかになっています。3クラスの薬剤による治療歴を有する再発の多発性骨髄腫患者さんは、従来、全生存期間と無増悪生存期間が不良であり、現在の標準治療では持続的な奏効を得ることができません。これらの結果は、同患者集団において著しく有意に改善された持続的アウトカムを示しています」