急速進行性の血液がんを対象にCAR-T細胞療法Tecartusを評価した臨床試験の結果を発表

2024/03/08

文:がん+編集部

 急速進行性の血液がんを対象に、CAR-T細胞療法brexucabtagene autoleucel(製品名:Tecartus)を評価した臨床試験における長期奏効および安全性を支持する結果が発表されました。

Tecartus、再発・難治性のマントル細胞リンパ腫に対して高い有効性を示し、重篤なサイトカイン放出症候群のリスクも軽減

 ギリアド・カンパニーのkiteは2023年12月11日、再発・難治性のマントル細胞リンパ腫および再発・難治性のマントル細胞リンパ腫および再発・難治性のB前駆細胞性急性リンパ性白血病の患者さんに対するbrexucabtagene autoleucelの使用を支持する新たな4つの解析結果を2023年米国血液学会年次総会で報告したことを発表しました。今回発表された解析結果は、ZUMA-2試験の4年間の全生存データおよび拡大利用に関するZUMA-18試験の一次結果が含まれています。

 ZUMA-2試験における再発・難治性のマントル細胞リンパ腫患者さん68人の解析結果では、全生存期間の中央値は46.4か月、そのうち44%がデータカットオフの時点で生存していました。完全奏効が認められた患者さんの全生存期間の中央値は、58.7か月でした。

 ZUMA-18試験における再発・難治性のマントル細胞リンパ腫患者さん23人の解析結果では、客観的奏効率87%でした。また、完全奏効率57%、部分奏効30%、進行9%でした。全生存期間の中央値はデータカットオフ時点では未達でしたが、24か月時点の全生存率は58%で、データカットオフ時点で、61%の患者さんが生存していました。

 安全性に関しては、ZUMA-18試験において23人の患者さん全員に少なくとも1つのグレード3以上の有害事象が認められました。グレード3以上のサイトカイン放出症候群が4%、神経系の事象が35%の患者さんで認められました。5件のグレード5の有害事象が発現し、うち1件はbrexucabtagene autoleucel投与に関連があり、4件はbrexucabtagene autoleucel投与に関連なしとみなされました。

 Zuma-2試験の治験医師で、Hackensack University Medical CenterのJohn Theurer Cancer Centerリンパ腫部門長のアンドレ・ゴイ医師は、次のように述べています。

 「完全奏効を達成した患者さんの全生存期間の中央値が46.4か月であることを示したZUMA-2試験の結果と同様に、拡大利用に関するZUMA-18試験においても、brexu-celは再発・難治性のマントル細胞リンパ腫患者さんに対して高い有効性を示し、重篤なサイトカイン放出症候群のリスクも軽減されています。これら2つの試験結果はともに、再発・難治性のマントル細胞リンパ腫に対するbrexu-celの継続的使用を強く支持するものです」