定期的な肺がん検診(胸部画像撮影)、約7割が早期ステージで診断されていたことがインターネット調査で判明

2024/05/10

文:がん+編集部

 定期的な肺がん検診(胸部画像撮影)で、約7割が早期ステージで診断されていたことがインターネット調査で判明しました。

症状をきっかけに医療機関を受診して肺がんが発見された患者さんの50%が診断時にはステージ3以降

 アストラゼネカ株式会社は2024年4月15日、全国の30歳以上の肺がん患者さん156人を対象に、健康診断および肺がん検診の受診歴、肺がん発見の経緯や肺がんに関する理解度などに関するインターネット調査の結果を発表しました。

 肺がんは初期症状が出にくく、風邪といった他の病気との区別もつきにくいことから早期発見が難しいがんの1つです。非小細胞肺がんの場合、ステージ別の5年生存率は、ステージ1が84.1%、ステージ2が54.4%、ステージ3が29.9%、ステージ4が8.1%となっており、早期発見による早期治療が重要とされています。

 今回の調査では、肺がんの発見経緯で最も多かったのは健康診断時で46%、次いで他の疾患治療時における胸部画像撮影が36%、咳などの症状をきっかけにした医療機関の受診が9%、肺がん検診は5%でした。症状をきっかけに医療機関を受診して肺がんが発見された患者さんの50%が、診断時にはステージ3以降でした。

 また、健康診断(人間ドックを含む)は多くの患者さんが毎年受けていましたが、肺がん検診を毎年受けていた患者さんは42%でした。その理由として最も多かったのは、「特に気になる症状がなかった(61%)」でした。

 さらに、健康診断または肺がん検診を毎年受けていた患者さんの約7割が、ステージ0~2で診断されており、健康診断や肺がん検診を毎年受けていなかった患者さんと比べて、より早期に肺がんが発見された患者さんの割合が高いことがわかりました。

 「肺がんと診断される前から肺がんに関する知識や情報を持っていたらどんなことにつながったと思うか」という問いに対して、進行したステージ3~4で診断された患者さんは、ステージ0~2で診断された患者さんと比較して、「もっと早い健康診断や肺がん検診の受診につながったと思う」と回答した割合が高いという結果でした。

 同社の執行役員 オンコロジー事業本部の森田慎一郎事業本部長は、次のように述べています。

 「肺がんは初期症状が現れにくく、症状が出たときには進行していることが多いがんです。早期発見には胸部画像によって肺の状態を見ることが不可欠であることから、健康診断または肺がん検診を毎年受けていた患者さんがより早期ステージで発見できたという結果に繋がったと考えられます。早期発見のチャンスを逃さないためにも、胸部画像撮影の機会となる健康診断および肺がん検診の重要性を理解していただきたいです」