造血幹細胞移植が適応とならない未治療の多発性骨髄腫を対象にサークリサを評価したIMROZ試験の結果を発表

2024/07/16

文:がん+編集部

 造血幹細胞移植が適応とならない未治療の多発性骨髄腫を対象に、イサツキシマブ(製品名:サークリサ)を評価したIMROZ試験の結果を発表。無増悪生存期間の改善が認められました。

「サークリサ+VRd療法」、VRd療法と比較して病勢進行または死亡リスクを40%減少

 サノフィは2024年6月3日、IMROZ試験の結果が2024年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO)で報告され、同時に、New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されたことを発表しました。

 IMROZ試験は、造血幹細胞移植が適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者さん446人を対象に、「イサツキシマブ+VRd療法(ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン)」とVRd療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次評価項目は、完全奏効率、完全奏効例における微小残存病変(MRD)陰性化率、VGPR以上の奏効率、全生存期間などでした。

 解析の結果、「イサツキシマブ+VRd療法」はVRd療法と比較して、病勢進行または死亡リスクを40%減少。60か月時点の推定無増悪生存率は、それぞれ63.2%と45.2%でした。

主な副次的評価項目の解析は、以下の通りです。

完全奏効率
  • 「イサツキシマブ+VRd療法」:74.7%
  • VRd療法:64.1%
完全奏効例における微小残存病変(MRD)陰性化率
  • 「イサツキシマブ+VRd療法」:55.5%
  • VRd療法:40.9%
MRD(微小残存病変)が12か月以上持続した患者割合
  • 「イサツキシマブ+VRd療法」:46.8%
  • VRd療法:24.3%%

 安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと同様で、新たな安全性シグナルは認められませんでした。グレード3以上の有害事象が報告された患者さんの割合は、「イサツキシマブ+VRd療法」91.6%、VRd療法84%でした。試験治療下で発現し、治療中止に至った事象が報告された患者さんの割合は、「イサツキシマブ+VRd療法」22.8%、VRd療法26%でした。

 同社のオンコロジー領域 グローバル開発ヘッドのピーター・C・アダムソン氏は、次のように述べています。

 「多発性骨髄腫の研究のペースは、ここ20年間は加速の一途を辿っており、患者さんに転帰改善をもたらす可能性のある新たな治療法への道が拓かれてきました。私たちは、多発性骨髄腫の患者さんのために道を拓く手助けをする取り組みを進めており、今回ASCOで発表され、NEJMに掲載されたIMROZ試験の結果を嬉しく感じております。同試験では、未治療で造血幹細胞移植が適応とならない患者さんの無増悪生存期間を改善する可能性があることが示されました。臨床研究に貢献いただきました患者さんとご家族、試験責任医師の方々に深く感謝いたします」