再発・難治性の多発性骨髄腫を対象に「Blenrep+PD療法」を評価したDREAMM-8試験の結果を発表
2024/07/17
文:がん+編集部
再発または難治性の多発性骨髄腫を対象に、二次治療以降の治療として「ベランタマブ マホドチン(製品名:Blenrep)+PD療法(ポマリドミド+デキサメタゾン)併用療法を評価したDREAMM-8試験の結果を発表。無増悪生存期間の改善が認められました。
「Blenrep+PD療法」併用療法、「ベルケイド+PD療法」併用療法と比較して病勢進行または死亡リスクを48%低減
グラクソ・スミスクライン社は2024年6月2日、DREAMM-8試験の結果を2024年米国臨床腫瘍学会年次総会で報告したことを発表しました。
DREAMM-8試験は、1ライン以上の多発性骨髄腫治療歴(レナリドミドを含む治療を含む)があり、直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された再発または難治性の多発性骨髄腫患者さん302人を対象に、「ベランタマブ マホドチン+PD療法」併用療法と「ボルテゾミブ(製品名:ベルケイド)+PD療法」併用療法を比較した第3相多試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、重要な副次的評価項目は全生存期間、次世代シークエンシングにより評価した微小残存病変陰性率、奏効期間、その他の副次的評価項目は、客観的奏効率、患者さんの報告による生活の質のアウトカム、有害事象、眼科検査所見、臨床検査所見などでした。
試験の結果、「ベランタマブ マホドチン+PD療法」併用療法は「ボルテゾミブ+PD療法」併用療法と比較して病勢進行または死亡リスクを48%低下させ、統計学的有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間の改善が認められました。追跡期間の中央値21.8か月時点での無増悪生存期間の中央値は、「ベランタマブ マホドチン+PD療法」では未達、「ボルテゾミブ+PD療法」は12.7か月でした。
また、1年後時点で病勢進行が認められず生存していた患者さんの割合は、それぞれ71%と51%でした。
さらに、予後不良のサブグループ(レナリドミドに対する抵抗性を示す患者さんや細胞遺伝学的高リスクの患者さんなど)を含め事前に規定したすべてのサブグループで、「ベランタマブ マホドチン+PD療法」併用療法の有効性が認められました。
ユニバーシティ・ヘルス・ネットワークのプリンセス・マーガレットがんセンターの腫瘍・血液内科のスザンヌ・トルデル医師は、次のように述べています。
「DREAMM-8試験で認められた無増悪生存期間の顕著な延長は、ベランタマブ マホドチンをポマリドミドおよびデキサメタゾンと併用することで、再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんの転帰を改善する可能性を示唆しています。今回検討した併用療法が、初回再発やそれ以降の再発の多発性骨髄腫の治療のあり方を変え、患者さんはこの新たな治療による恩恵を受けることができるでしょう」