進行・転移性トリプルネガティブ乳がんを対象に「トルカプ+化学療法」を評価したCAPItello-290試験の結果を発表

2024/08/08

文:がん+編集部

 進行または転移性トリプルネガティブ乳がんを対象に、「カピバセルチブ(製品名:トルカプ)+化学療法」を評価したCAPItello-290試験の結果を発表。全生存期間の改善が認められませんでした。

「トルカプ+化学療法」、「プラセボ+化学療法」と比較して全生存期間を改善せず

 アストラゼネカは2024年6月18日、CAPItello-290試験の結果を発表しました。

 CAPItello-290試験は、局所進行(手術不能)または転移性トリプルネガティブ乳がん患者さん923人を対象に、「カピバセルチブ+化学療法(パクリタキセル)」と「プラセボ+パクリタキセル」を比較した第3相試験です。主要評価項目は、全患者グループを対象とした全生存期間、PI3K/AKT経路(PIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子)に変異が認められる患者グループを対象とした全生存期間でした。

 解析の結果、「カピバセルチブ+パクリタキセル」は「プラセボ+パクリタキセル」と比較して、2つの解析グループともに全生存期間の改善が認められず、主要評価項目を達成しませんでした。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと概ね一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 本試験の治験責任医師であるBarts Cancer InstituteのPeter Schmid氏は、次のように述べています。

 「中等度の進行であっても、トリプルネガティブ乳がんは既知の反応が期待できる遺伝子標的がないために、依然としてもっとも治療困難な疾患の1つであり、化学療法の実施が治療の頼みの綱という状況に変わりありません。CAPItello-290試験の結果は私たちが期待していた通りにはなりませんでしたが、患者さんが早急に新たな治療法を必要としているこの悪性度の高い乳がんに対する理解を深めるために重要な情報をもたらしてくれました」