タグリッソとイミフィンジ、肺がんに対する根治的化学放射線療法後の治療薬として国内申請
2024/09/05
文:がん+編集部
根治的化学放射線療法後の肺がん治療薬として、オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)とデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)の国内承認申請が行われました。
タグリッソとイミフィンジ、プラセボと比較して生存ベネフィットを改善
アストラゼネカ株式会社は2024年7月31日、根治的化学放射線療法後の肺がん治療薬として、オシメルチニブとデュルバルマブの承認申請を行ったことを発表しました。今回の承認申請は、LAURA試験とADRIATIC試験の結果に基づき、オシメルチニブは、切除不能なステージ3の上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する非小細胞肺がん、デュルバルマブは、根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められない限局型小細胞肺がんに対する治療薬として申請されました。
LAURA試験は、白金製剤ベースの根治的化学放射線療法後に病勢が進行しなかった、切除不能なステージ3のEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さん216人を対象に、オシメルチニブとプラセボを比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間などでした。
解析の結果、オシメルチニブはプラセボと比較して病勢進行または死亡リスクを84%低減。無増悪生存期間の中央値は、オシメルチニブ39.1か月とプラセボ5.6か月でした。
ADRIATIC試験は、同時化学放射線療法後に増悪しなかった限局型小細胞肺がん患者さん730人を対象に、デュルバルマブ単剤療法および「デュルバルマブ+トレメリムマブ(製品名:イジュド)」併用療法とプラセボを比較した第3相試験です。主要評価項目はデュルバルマブ単剤療法とプラセボを比較した無増悪生存期間と全生存期間、重要な副次評価項目は、「デュルバルマブ+トレメリムマブ」併用療法とプラセボを比較した無増悪生存期間と全生存期間、安全性、QOL指標などでした。
解析の結果、デュルバルマブはプラセボと比較して死亡リスクを27%低減。全生存期間の中央値は、デュルバルマブ55.9か月とプラセボ33.4か月、3年生存率は、それぞれ57%と48%(推定値)でした。また、デュルバルマブはプラセボと比較して病勢進行または死亡リスク24%低下。無増悪生存期間の中央値は、デュルバルマブ16.6か月、プラセボ9.2か月で、2年後に病勢進行を認めなかった患者さんの割合は、それぞれ46%と34%(推定値)でした。
同社の執行役員 研究開発本部長の大津 智子氏は、次のように述べています。
「肺がんは当社オンコロジー領域における注力疾患であり、複数の肺がんタイプ、ステージにわたって治療選択肢を提供するべく、開発に取り組んでいます。タグリッソおよびイミフィンジに関するこれら2つの承認申請によって、肺がん患者さんの根治的化学放射線療法後の治療選択肢の拡充に貢献できることを期待しております」