【週刊】がんプラスPickupニュース(11月25日)

2024/11/25

文:がん+編集部

RET融合遺伝子陽性肺がんの抵抗性を解除する新たな治療法の開発に成功

 京都府立医科大学は2024年11月8日、RET融合遺伝子陽性肺がんの治療薬セルペルカチニブ(製品名:レットヴィモ)に対する抵抗性を解除する新たな治療法の開発に成功したことを発表しました。この研究では、セルペルカチニブ投与により、HER3シグナルが活性化する初期抵抗性メカニズムを解明。HER3の活性化を抑える汎HER阻害薬アファチニブ(製品名:ジオトリフ)を初期から併用することでこの抵抗性を克服し、高い治療効果が得られることが明らかになりました。この併用治療は、YAPタンパク質の発現が増加している肺がんで効果が高いことから、RET融合遺伝子陽性肺がんの個別化医療が推進され、治療成績の向上に貢献することが期待されます。

前立腺がん治療の意思決定、患者さんの要望は医師と適切に共有されていない可能性

 アストラゼネカ株式会社は2024年11月8日、前立腺がんの治療選択の意思決定における、患者さんの情報提供のニーズおよび医療従事者とのコミュニケーションと治療満足度の関係性について調べるインターネット調査の結果を発表しました。調査の結果、約9割の患者さんが、「治療選択肢を複数提示して欲しい」と望む一方で、26%の患者さんが「医師から提示された治療選択肢は1つ」と回答、さらに、患者さんの29%が治療に対する要望を伝えていない、と回答したことも明らかになりました。また、医師とのコミュニケーションに満足した患者さんは、治療満足度が高く、コミュニケーションに不満があった患者さんでは、治療満足度が低い傾向が見られました。

キイトルーダ、切除可能な局所進行頭頸部がんに対する周術期治療として主要評価項目の無イベント生存期間を達成

 メルク社は2024年10月8日、ステージ3/4と新たに診断された切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がんに対する周術期治療として、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を評価したKEYNOTE-689試験の結果を発表しました。同試験では「周術期ペムブロリズマブ療法」として術前補助療法のペムブロリズマブ投与、術後補助療法としてペムブロリズマブと標準治療の放射線治療(±シスプラチン)の併用療法、さらに維持療法としてペムブロリズマブの投与が行われ、標準治療と比較されました。事前に規定された初回の中間解析の結果、周術期ペムブロリズマブ療法は標準治療と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある無イベント生存期間の改善が認められました。