【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年2月3日)
2025/02/03
文:がん+編集部
新型コロナウイルスのパンデミック中、日本でも乳がん検診受診率は低下
筑波大学は2025年1月16日、国民生活基礎調査のデータ(2019年、2022年)を解析し、新型コロナウイルス感染症のパンデミック期間中、多くの国で報告されたように日本でも乳がん検診の受診率が低下していたことが確認されたと発表しました。
乳がん検診受診率を調べた結果、パンデミック前は48.3%、パンデミック中は47.1%でした。さらに、受診率の大きく低下した集団について調べたところ、年齢ごとでは45~49歳、居住地域ごとでは町村に居住、教育歴ごとでは高校卒と専門学校・短大・高専卒、健康保険ごとに見ると被用者保険の被扶養の集団で差が大きく、このような特徴を持つ女性において特に受診率が低いことが明らかになりました。
がん悪液質治療薬「エドルミズ」が結合したグレリン受容体構造を解明
久留米大学は2025年1月21日、がん悪液質治療薬であるアナモレリン(製品名:エドルミズ)が結合したグレリン受容体の立体構造を決定したことを発表しました。
研究グループは、決定されたアナモレリン結合状態にあるグレリン受容体の立体構造やシグナル活性の測定結果から、アナモレリンがグレリン受容体に対し強力に作用する薬剤となることを明らかにしました。また、グレリン受容体に関わる薬剤の効果に影響を与える一塩基多型(ゲノムDNAの塩基配列に生じた特定の1塩基の違い)も見出しました。グレリン受容体は、さまざまな生理作用に関わる重要な分子であり、今回の研究によって、より治療効果の高いがん悪液質治療薬の開発につながるだけでなく、心不全などさまざまな疾患の治療薬の設計にも役立つことが期待されます。
再発・難治性の多発性骨髄腫を対象にサークリサ皮下注製剤と静注製剤を比較したIRAKLIA試験の結果を発表
フランスのサノフィ社は2025年1月9日、IRAKLIA試験の結果を発表しました。
IRAKLIA試験は、再発または難治性の多発性骨髄腫を対象に、「ポマリドミド+デキサメタゾン併用療法」に追加する治療法として、イサツキシマブ(製品名:サークリサ)の皮下注製剤と静注製剤を比較した第3相試験です。
試験の結果、イサツキシマブ皮下注製剤は、複合主要評価項目である客観的奏効率と定常状態における投与前血中薬物濃度(トラフ濃度)を達成し、静注製剤と比較した非劣性が認められました。また、主な副次評価項目であるVGPR以上の奏効率、注入に伴う反応の発現率、第2サイクルにおけるトラフ濃度も達成しました。