【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年3月17日)

2025/03/17

文:がん+編集部

医療関係者間コミュニケーションアプリ活用、臨床試験の適格性をリモートで確認する実証研究開始

 国立がん研究センターは2025年3月3日、株式会社アルムが開発した医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を活用し、患者さんの来院前にリモートで臨床試験の適格性を確認する実証研究を同センター中央病院が開始したと発表しました。

 この実証研究では、連携協力病院の担当医が、中央病院の臨床試験への参加を希望する患者さんの情報を、Joinを使用して送信。中央病院は、受信した内容を検討し、院内で行われている臨床試験への参加可能性や該当する臨床試験をJoin上で回答します。適格性の推定は中央病院の各診療科に所属する同研究および臨床試験の分担医師が担当し、担当医は、患者さんへ参加が可能な臨床試験について説明。中央病院の医師は、改めて臨床試験に関する同意説明を行い、患者さんの同意を得て、適格性を確認した後に臨床試験への参加登録が行われます。

 今回の研究により、情報通信技術を活用して臨床試験に携わる病院へのアクセスの効率を改善し、臨床試験への参加を希望する患者さんの紹介受診の負担を軽減するとともに、より多くの患者さんに機会を提供することが期待されます。

口腔がん患者さんに特徴的な口腔細菌のバランスを発見

 横浜市立大学は2025年3月2日、口腔がん患者さんとそうでない人との口腔細菌のバランスの違いを発見したことを発表しました。

 研究グループは、口腔がん患者さん、口腔がんの前がん病変である口腔潜在的悪性疾患の患者さん、口腔粘膜に疾患のない患者さんより唾液を採取し、その中のDNAを解析。同時に歯周病検査を行いました。その結果、口腔がんや口腔潜在的悪性疾患の患者さんは、口腔粘膜疾患のない患者さんと比較して口腔細菌のバランスが異なることを発見しました。また、患者さんにおいて歯周病罹患率が高いことも明らかになりました。

 さらに、マウス実験を行い、歯周病関連菌である「ポルフィロモナス・ジンジバリス」 の内毒素が口腔がんの発がんに関連することも明らかにしました。今回の研究成果から、口腔衛生状態の改善が口腔がん発症の予防につながる可能性が期待されます。

ESR1遺伝子変異があるHR陽性進行乳がんの一次治療としてカミゼストラントを評価したSERENA-6試験の結果を発表

 英アストラゼネカ社は2025年2月26日、SERENA-6試験の中間解析結果を発表しました。

 SERENA-6試験は、ESR1遺伝子変異があるHR陽性進行乳がんの一次治療として、「カミゼストラント+CDK4/6阻害薬(パルボシクリブ、ribociclib、アベマシクリブ)」併用療法と「AI(アナストロゾールまたはレトロゾール)+CDK4/6阻害薬」併用療法を比較した第3相試験です。

 解析の結果、「カミゼストラント+CDK4/6阻害薬」併用療法では「AI+CDK4/6阻害薬」と比較して、統計学的有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間の延長が認められました。