【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年6月30日)

2025/06/30

文:がん+編集部

切除可能な胃がん対象、イミフィンジ併用療法を評価したMATTERHORN試験の結果発表

 アストラゼネカ株式会社は2025年6月9日、MATTERHORN試験の結果を発表しました。

 MATTERHORN試験は、切除可能なステージ2~4Aの胃がん/食道胃接合部がんを対象に、周術期治療として「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+FLOT化学療法(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)」を評価した第3相試験です。

 中間解析の結果、「デュルバルマブ+化学療法」は化学療法単独と比較して病勢進行・再発または死亡リスクを29%低下させました。無イベント生存期間において統計学的有意かつ臨床的に意義のある改善が認められました。

HER2陽性の子宮内膜がんを対象にエンハーツを評価するDESTINY-Endometrial01試験を開始

 第一三共株式会社は2025年6月10日、DESTINY-Endometrial01試験において最初の患者さんへの投与を開始したと発表しました。

 DESTINY-Endometrial01試験は、HER2発現(IHC 3+または2+)のミスマッチ修復機構が正常(pMMR)な原発性進行・再発子宮内膜がん患者さんを対象に、一次治療として「トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)+rilvegostomig(PD-1/TIGITバイスペシフィック抗体)またはペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」併用療法と「プラチナ製剤ベース化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)+ペムブロリズマブ」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、重要な副次評価項目は全生存期間です。

 なお、同試験の開始は、前治療歴のあるHER2発現の進行性固形がん患者さんを対象とした第2相臨床試験(DESTINY-PanTumor02)における子宮内膜がん患者さんのサブグループ解析結果に基づくものです。

進行性固形がん対象、BRD4分解誘導薬「MT-4561」を評価する第1/2相臨床試験を米国で開始

 田辺三菱製薬株式会社は2025年6月13日、進行性固形がんを対象としたMT-4561の第1/2相臨床試験を5月に米国で開始したと発表しました。この試験では、MT-4561の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学、有効性が評価されます。

 同試験は、複数の施設で3つのパートに分かれて実施されます。第1パートは、MT-4561を週に1回静脈内投与し、28日をサイクルとした治療において、有害事象の発生数と用量制限毒性の発現率などが評価されます。第2パート(投与量最適化)と第3パート(薬物相互作用)の詳細および投与量は、第1パートの結果のレビュー後に具体化される予定です。

 MT-4561は、さまざまながん移植モデルや患者由来の細胞で持続的な抗腫瘍効果を発揮する新規のBRD4(ブロモドメイン含有タンパク質4)分解誘導薬です。BRD4は、がん関連遺伝子の転写を促進する働きがあり、BRD4の分解により急速なアポトーシス誘導と転写依存性のがんの死滅が起こされる可能性があります。