ALK陽性非小細胞肺がんの新薬が優先審査の対象に
2018/06/15
文:がん+編集部
ALK陽性非小細胞肺がんの新薬「ロルラチニブ」が、厚生労働省より優先審査の対象として指定されました。同剤は2018年1月に承認申請を行っており、早期の承認が期待されます。
第3世代のALK阻害剤、難治性のALK耐性変異の治療薬として早期承認が期待
ファイザー株式会社は6月12日、ロルラチニブが厚生労働省より優先審査の対象となることが通知されたと発表しました。
ロルラチニブは、ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性または不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の効能・効果で、2018年1月に日本での製造販売承認を申請しています。
今回、ロルラチニブが優先審査の対象になったことは、2017年10月に導入された「医薬品の条件付き早期承認制度」に基づきます。この制度は、重篤な疾患で有効な治療方法があまりなく、患者さんの数が少ないことなどの理由から、検証的臨床試験の実施が難しい場合や、実施が可能な場合でも長い期間が必要だと判断される場合に適用が検討されます。
ロルラチニブは、ALK阻害剤が効かなくなった患者さんにも効果が期待されます。 ロルラチニブの国際共同第1/2相試験では、複数回のALK阻害剤の治療を受けた患者さんを含む全ての患者群で、高い奏効率※1が認められ、頭蓋内腫瘍に対する奏効も確認されたそうです。難治性の耐性変異がある腫瘍に対しても効果を示し、全般的QOLの改善も認められたとしています。安全性については、多くは忍容性※2が高く、投与中止に至る有害事象の割合は非常に低く、休薬や減量等によって管理可能だったそうです。
現在、日本も参加しているロルラチニブの第3相CROWN試験(NCT03052608)が進行中です。この試験は、ALK陽性転移性NSCLCに対する第一選択治療薬としてのロルラチニブをクリゾチニブ(製品名:ザーコリ)と比較する非盲検無作為化群間比較試験です。
※1 治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。
※2 薬による有害事象(副作用)に、どのくらい耐えられるかの程度を忍容性といい、有害事象に十分耐えられるときは「忍容性が高い」、耐えられないときは「忍容性が低い」と表現されます。