サイラムザ+タルセバ併用、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの治験で有効性を確認

2019/03/26

文:がん+編集部

  EGFR遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がんを対象とした治験で、ラムシルマブ(製品名:サイラムザ)エルロチニブ(製品名:タルセバ)併用療法が、無増悪生存期間※1を有意に延長しました。

サイラムザ+タルセバ併用療法、2019年半ばから各国で承認申請を開始予定

 日本イーライリリーは3月18日に、EGFR遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がんを対象とした第3相試験RELAY試験の結果を米国イーライリリー・アンド・カンパニーが公表したと発表しました。ラムシルマブ+エルロチニブ併用が、プラセボ+エルロチニブに対して、主要評価項目である無増悪生存期間を有意に延長したそうです。

 RELAY試験は、EGFRエクソン19欠失又はエクソン21(L858R)置換変異が認められる転移性非小細胞肺がん患者さんを対象に、1次治療としてラムシルマブ+エルロチニブ併用療法とプラセボ+エルロチニブ併用療法を比較した無作為化二重盲検プラセボ対照第3相国際共同試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目安全性、奏効率※2、全生存期間※3、患者報告アウトカムです。

 同試験での安全性プロファイルは、ラムシルマブ、エルロチニブともに従来認められていたものと一貫していました。プラセボと比較してラムシルマブで5%以上高い発現がみられたグレード3以上の副作用は、高血圧、座瘡様皮膚炎、下痢でした。

 リリー・オンコロジーの後期開発バイスプレジデント Maura Dickler, M.D.は「私達は、非小細胞肺がん患者でサイラムザ+エルロチニブの併用療法が癌の増悪までの期間を統計学的に有意に遅らせた本試験の結果をうれしく感じています。RELAY 試験は、肺がんの患者さんに新たな治療選択肢を提供しようとするリリーの取組みの一つです。私達は、この試験に参加された患者さんと研究者並びに試験施設の皆さんに感謝申し上げます。私達は、承認申請を各国の規制当局と協働していることをうれしく感じています」と、コメントしています。

 同社は、2019年半ばから各国で承認申請を開始する予定です。

RELAY試験

対象:ステージ4の転移性非小細胞肺がん
条件:EGFR遺伝子変異陽性エクソン19欠失またはエクソン21(L858R)置換変異に基づいて、エルロチニブによる一次治療が的確な患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:無作為化、平行群間、二重盲検
登録数:543人
試験群:ラムシルマブ+エルロチニブ
対照群:プラセボ+エルロチニブ
主要評価項目:無増悪生存期間
副次的評価項目:全生存期間、奏効率、奏功期間ほか

※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。