多発性骨髄腫に対するカイプロリス併用療法の一部変更承認申請
2019/03/27
文:がん+編集部
再発または難治性の多発性骨髄腫に対する、カルフィルゾミブ(製品名:カイプロリス)とデキサメタゾン(製品名:レナデックス)併用療法の用法・用量の追加に係る一部変更の承認申請が行われました。
カルフィルゾミブ、週2回投与~週1回投与で患者負担も軽減
小野薬品工業株式会社は3月19日に、再発または難治性の多発性骨髄腫に対する、カルフィルゾミブ+デキサメタゾン併用療法の用法・用量に係わる承認の一部変更申請を行ったことを発表しました。これまでは、2剤を週2回投与が必要でしたが、カルフィルゾミブを1サイクル目の1日目のみ20mg/m2、それ以降は70㎎/m2を週1回投与にするための申請です。今回の追加変更申請は、国際共同多施設無作為化非盲検第3相試験ONO-7057-06/A.R.R.O.W.試験の結果に基づくものです。
A.R.R.O.W.試験は、再発・難治性の多発性骨髄腫に対する治験です。「週1回投与のカルフィルゾミブ20/70mg/m2とデキサメタゾン併用療法」と「週2回投与のカルフィルゾミブ20/27mg/m2とデキサメタゾン併用療法」を比較して、無増悪生存期間※1などで評価されました。その結果、週1回投与でも、無増悪生存期間が統計学的に有意に延長されました。安全性に関しても、週1回投与と週2回投与は同等で、週1回投与で新たな安全性リスクは認められませんでした。
カルフィルゾミブは再発または難治性の多発性骨髄腫の効能・効果で、2016年7月に、レネリドミドおよびデキサメタゾンとの3剤併用療法(週2回投与)で製造販売承認を取得しました。その後、2017年5月に、デキサメタゾンとの2剤併用療法(週2回投与)で、一部変更承認を取得しています。今回の週1回投与の変更申請が承認されると、患者さんの治療負担が減ることが期待されます。
A.R.R.O.W.試験
対象:再発または難治性の多発性骨髄腫
条件:多発性骨髄腫に対して週2~3回の前治療歴がある患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:国際共同多施設無作為化非盲検
登録数:460人
試験群:週1回のカルフィルゾミブ20/70mg /m2 +デキサメタゾン
対照群:週2回のカルフィルゾミブ20/27mg /m2 +デキサメタゾン
主要評価項目:無増悪生存期間
副次的評価項目:全奏効率※2、全生存期間※3など
※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。