イサツキシマブ併用で、再発・難治性の多発性骨髄腫患者の無増悪生存期間を延長
2019/06/27
文:がん+編集部
ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法にイサツキシマブを追加した再発・難治性の多発性骨髄腫に対する治験で、無増悪生存期間の有意な延長が確認されました。
無増悪生存期間、イサツキシマブ併用11.53か月、ポマリドミド・デキサメタゾン6.47か月
フランスのサノフィ社は6月2日に、再発・難治性の多発性骨髄腫に対する第3相ICARIA-MM試験の結果を、米国臨床腫瘍学会で報告したと発表しました。ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法にイサツキシマブを追加して評価した結果、無増悪生存期間の有意な延長が確認されました。イサツキシマブは、現在開発中の抗CD38モノクローナル抗体製剤です。
ICARIA-MM試験では、再発・難治性の多発性骨髄腫患者さん307人に対して、ポマリドミド・デキサメタゾン+イサツキシマブ併用療法とポマリドミド・デキサメタゾンのみによる治療が比較されました。対象患者さんの前治療には、少なくとも2サイクル以上のレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬の単剤もしくは併用療法が含まれていました。試験開始後、最初の4週は、イサツキシマブ10mg/kgの静脈内投与を毎週1回、その後隔週投与を28日間のサイクルで行いました。投与期間中は、標準用量でのポマリドミド・デキサメタゾン療法が継続されました。
この試験の結果、イサツキシマブ併用群の無増悪生存期間の中央値は11.53か月であったのに対し、ポマリドミド・デキサメタゾン療法群では6.47か月で、統計学的に有意な改善が認められました。奏効率は、イサツキシマブ併用群60%、ポマリドミド・デキサメタゾン療法群35%で、75歳以上の患者さん、腎機能障害がある患者さん、レナリドミド抵抗などサブグループにおいてもイサツキシマブ併用群が上回る治療効果が認められました。
安全性に関して、グレード3以上の有害事象発現率はイサツキシマブ併用群86.8%、ポマリドミド・デキサメタゾン療法群70.5%でした。有害事象による治療中止割合は、イサツキシマブ併用群7.2%、マリドミド・デキサメタゾン療法群12.8%、死亡例はイサツキシマブ併用群7.9%に対し、マリドミド・デキサメタゾン療法群9.45%でした。
この試験の試験責任医師で、ダナ・ファーバーがん研究所のジェローム・リッパー多発性骨髄腫センターで臨床プログラムリーダーと臨床研究ディレクターをつとめるポール・リチャードソン博士は「今回の試験は治療が困難な再発・難治例を対象としており、実臨床の状況をよく反映する患者集団と考えられるため、このような結果が得られたことは注目に値します」と、述べています。