血中循環腫瘍DNA陽性の大腸がんに対するトリフルリジン・チピラシルとプラセボの治験

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治験

ALTAIR study

血中循環腫瘍DNA陽性の治癒切除後結腸・直腸がん患者を対象としたトリフルリジン・チピラシルとプラセボとを比較する無作為化二重盲検第3相試験

治験概要:

治癒切除後の結腸・直腸がんに対する治験。血中循環腫瘍DNA陽性の患者さんが対象です。
トリフルリジン・チピラシルとプラセボとを比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、240人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化二重盲検国際共同第III相試験。
試験群:トリフルリジン・チピラシル
対照群:プラセボ
無病生存期間、ctDNA陰転化率、全生存期間、有害事象発現割合、治療完遂率、QOLなどで評価します。

疾患解説:大腸がん

疾患の詳細は、「大腸がんを知る」を参照ください。

治験薬:トリフルリジン・チピラシル

トリフルリジン・チピラシルは、トリフルリジンとチピラシル塩酸塩を2対1で配合した抗悪性腫瘍薬です。
トリフルリジンは、直接DNAに取り込まれDNAの機能障害を起こします。トリフルリジン単独では、生体内の代謝が速く薬の効果が期待できません。
トリフルリジンの代謝は、チミジンホスホリラーゼという酵素で行われるため、このチミジンホスホリラーゼを阻害するチピラシル塩酸塩を配合することで、トリフルリジンの血中濃度を維持し、抗腫瘍効果が増強されています。

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

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※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称血中循環腫瘍DNA陽性の治癒切除後結腸・直腸がん患者を対象としたFTD/TPI療法とプラセボとを比較する無作為化二重盲検第III相試験
試験の概要結腸・直腸がん患者に対し、治癒切除が施行されたのちNatera社の残存腫瘍検出用血液循環腫瘍DNA(ctDNA)検出システムSignateraTMによるモニタリングによりctDNA陽性と判定された画像上の明らかな再発のない患者を対象とする。標準治療である経過観察と比較し、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩(FTD/TPI)による先制治療を行うことの有効性と安全性を検証する
疾患名結腸・直腸癌
試験薬剤名ロンサーフ配合錠T15・T20
用法・用量28日を1コースとして、FTD/TPIまたはプラセボを1日2回朝食後および夕食後にDay1-5及びDay8-12の5日間連続経口投与したのち2日間休薬を2回繰り返して、14日間休薬する
対照薬剤名プラセボ
用法・用量28日を1コースとして、FTD/TPIまたはプラセボを1日2回朝食後および夕食後にDay1-5及びDay8-12の5日間連続経口投与したのち2日間休薬を2回繰り返して、14日間休薬する
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザイン本治験は治癒切除が施行された結腸・直腸がん患者に対し、ctDNA陽性と判定された患者を対象として、FTD/TPIによる先制治療を行うことの有効性と安全性を、標準治療である経過観察としてのプラセボ投与と比較し評価する、無作為化二重盲検国際共同第III相試験である
目標症例数240
適格基準
  • 病理組織学的に結腸・直腸腺がんと診断されている
  • 原発巣および転移巣に対し根治的切除*1が行われている
    *1切離端または外科剥離面に腫瘍が露出していても、腫瘍が被膜で覆われているものは根治的切除と見なす
  • 総合所見における病期がStageIII(T any N1*2/2M0)(UICC TNM分類第8版)結腸がんの場合には、標準的な術後化学療法*3が実施された既往がある
    *2N1c(UICC TNM分類第8版)も含む(漿膜下層又は腹膜被覆のない結腸もしくは直腸の周囲軟部組織内に腫瘍デポジットすなわち衛星結節があるが,領域リンパ節転移なし)
    *3最新の本邦および海外のガイドラインに記載されている治療、もしくは臨床試験のもとで実施された試験治療とする
  • 登録前2か月以内に採取した血液検体を用いたSignateraTMの解析*4においてctDNAが陽性と判定されている
    *4SignateraTMを用いた血液検体の解析は別途実施される臨床研究にて行われる(2.10.1.2参照)
  • 胸部、腹部、骨盤CT検査等にて明らかな再発が確認されていない
  • 経口摂取が可能である
  • 同意取得時年齢が20歳以上である
  • Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)performance status(PS)が0または1である
  • 主要臓器(骨髄、心、肺、肝、腎など)に高度な障害がなく、以下の基準を満たしている。(登録日から14日以内のデータで直近のものを登録に用いる。登録日を基準とし、2週前の同曜日は許容)
    ‐好中球数≧1,500/mm3
    ‐血小板数≧100,000/mm3
    ‐ヘモグロビン≧8.0g/dL
    ‐血清クレアチニン≦1.5mg/dL
    ‐総ビリルビン ‐ALT及びAST≦100U/L
  • Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v5.0におけるGrade2以上の下痢、口内炎を認めない
  • 本治験登録前に試験内容の十分な説明が行われた後、自由意思により、治験の参加について文書による同意が得られている
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • FTD/TPIの治療歴がある
  • 術後補助化学療法*5として2レジメン以上の治療歴がある(術前化学療法はレジメンとしてカウントしない)
    *5術後補助化学療法の開始時期は規定しない
    悪性腫瘍の既往がある*6
    *6 5年以上の無再発期間がある患者、又は局所治療により治癒したと判断される皮膚の基底細胞癌又は有棘細胞癌、表在性膀胱癌、子宮頸癌、Carcinoma in situ(上皮内癌)や粘膜内癌相当の病変、全身治療を必要としない非転移性前立腺がんなどを有する患者は登録可能とする
  • 処置を要する局所または全身性の活動性感染症を有する
  • HBs抗原陽性又はHCV抗体陽性*7である
    *7HCV抗体陽性であっても、HCV-RNA陰性であれば登録可能とする
  • HIV抗体陽性である(HIV抗体は未検でも登録は可能)
  • コントロール不良の感染症、糖尿病を有する
  • 治療を要する間質性肺疾患(間質性肺炎、肺線維症等)の既往、またはCT上広範囲にこれらの所見が認められる
  • 重篤な合併症*8を有する
    *8消化管出血,心疾患,緑内障など
  • ステロイド剤(プレドニゾロン換算で10mg/日以上かつ2週間以上の投与相当)の継続的な全身投与(内服又は静脈内)を受けている
  • 臨床上問題となる精神疾患により本治験の登録が困難と判断される
  • 妊娠中または授乳中の女性
  • 生殖能を有する患者で、治験参加期間及び避妊期間中に適切な避妊法を使用する意思がない。(4.3妊娠・避妊について参照)
  • その他、担当医が本治験への登録が不適であると判断する
主要な評価項目有効性/efficacy
主要な評価方法無病生存期間1(Disease free Survival:DFS1)
登録日を起算日とし、再発、登録日以降に初めて確認された再発以外の2次大腸がん病変の発生(粘膜内がん病変はイベントとして扱わない)、あらゆる原因による死亡をイベントとし、これらのうち最も早いイベントまでの期間とする。尚、イベントの評価は原則治験担当医判定(investigator assessment)とする
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法ctDNA陰転化率
治験治療終了後直近の検査にてctDNAが陰性化した症例の割合とする
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法無病生存期間2(Disease free survival2:DFS2)
登録日を起算日とし、再発、再発以外のがん病変(二次がん)、あらゆる原因による死亡をイベントとし、これらのうち最も早いイベントまでの期間とする。なお、再発と判断されていない生存例では、再発がないことが確認された最終生存日(電話による確認も可能とする。ただし診療録に記載すること。)をもって打ち切りとする。尚、イベントの評価は原則治験担当医判定(investigator assessment)とする
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法全生存期間
OSの定義
登録日を起算日とし、あらゆる原因による死亡日までの期間とする。生存例では最終生存確認日(電話による確認も可能とする。ただし診療録に記載すること。)、追跡不能例では追跡不能となる以前で生存が確認された最終日をもって打ち切りとする
副次的な評価項目安全性/safety
副次的な評価方法有害事象発現割合
全治療患者を分母とし、以下の治験治療による有害事象についてそれぞれCTCAEv5.0による全コース中の最悪Gradeの頻度を求める
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法治療完遂率
適格症例を対象に、症例毎に以下の式により算出する
治療完遂率(%)=最終投与コース数/6×100
副次的な評価項目安全性/safety
副次的な評価方法 QOL
QOLの評価にはEORTC QLQ C-30ならびにEQ-5D-5を用いる
予定試験期間2020年06月01日~2023/年11月30日

出典:臨床研究等提出・公開システムより