食道がんに対するペムブロリズマブ+根治的化学放射線療法の治験

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治験

KEYNOTE-975

根治的化学放射線療法を受ける食道がん患者さんを対象にペムブロリズマブとプラセボを比較する二重盲検無作為化プラセボ対照第3相試験

治験概要:

食道扁平上皮がん、食道胃接合部腺がん、食道腺がんに対する治験。根治的化学放射線療法を受ける患者さんが対象です。
ペムブロリズマブ+根治的化学放射線療法とプラセボ+根治的化学放射線療法を比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、600人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、多施設共同、無作為化、並行群間、プラセボ対照、二重盲検試験。
試験群:ペムブロリズマブ+根治的化学放射線療法
対照群:プラセボ+根治的化学放射線療法
全生存期間、無イベント生存期間、有害事象、有害事象による投与中止などで評価します。

疾患解説:食道がん

疾患の詳細は、「食道がんを知る」を参照ください。

治験薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:シスプラチン

シスプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。シスプラチンは、第1世代の白金製剤です。

治験薬:フルオロウラシル

フルオロウラシルは、DNAの合成阻害、RNAの機能障害によるがん細胞を細胞死に誘導する代謝拮抗薬です。
DNAを構成する主な成分はピリミジン塩基といわれ、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルなどです。フルオロウラシルは、このピリミジン塩基と似たような構造で、DNAが合成されるときにピリミジン塩基の代わりに取り込まれることで、DNA合成を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。

治験薬:ロイコボリン

ロイコボリンは、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する薬です。
フルオロウラシルは、DNAの合成阻害、RNAの機能障害によるがん細胞を細胞死に誘導する代謝拮抗薬です。
DNAを構成する主な成分はピリミジン塩基といわれ、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルなどです。フルオロウラシルは、このピリミジン塩基と似たような構造で、DNAが合成されるときにピリミジン塩基の代わりに取り込まれることで、DNA合成を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。
ロイコボリンは、体内でフルオロウラシルの代謝活性物質と強固な複合体を作り、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強します。

治験薬:レボホリナート

レボホリナートは、フルオロウラシルのDNA合成阻害作用を増強し、抗腫瘍効果を高めるお薬です。
フルオロウラシルの代謝活性物質と一緒にチミジル酸合成酵素と複合体を形成することで、抗腫瘍効果を増強させます。

治験薬:オキサリプラチン

オキサリプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。オキサリプラチンは、第2世代の白金製剤にさらに改変が行われ、新たな適応を獲得した第3世代の白金製剤です。

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称根治的化学放射線療法を受ける食道癌患者を対象にMK-3475とプラセボを比較する二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験(KEYNOTE 975)
試験の概要本試験の目的は、食道扁平上皮癌患者、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)Combined Positive Score(CPS)10以上の患者、及び患者全体における、全生存期間(OS)及び無イベント生存期間(EFS)を、dCRT+MK-3475群とdCRT+プラセボ群で比較することである
仮説(H1):dCRT+MK-3475はdCRT+プラセボと比較して食道扁平上皮癌患者のOSを延長させる
仮説(H2):dCRT+MK-3475はdCRT+プラセボと比較してPD-L1CPS10以上の患者のOSを延長させる
仮説(H3):dCRT+MK-3475はdCRT+プラセボと比較して患者全体のOSを延長させる
仮説(H4):dCRT+MK-3475はdCRT+プラセボと比較して食道扁平上皮癌患者のEFSを延長させる
仮説(H5):dCRT+MK-3475はdCRT+プラセボと比較してPD-L1CPS10以上の患者のEFSを延長させる
仮説(H6):dCRT+MK-3475はdCRT+プラセボと比較して患者全体のEFSを延長させる
疾患名食道扁平上皮癌・Siewert分類TypeI食道胃接合部腺癌・食道腺癌患者
試験薬剤名MK-3475+根治的化学放射線療法(dCRT)
用法・用量MK-3475200mgQ3W8コース
その後400mgQ6W5コース(合計約1年間)+dCRT(放射線療法+FOLFOX又はFP)
対照薬剤名プラセボ+根治的化学放射線療法(dCRT)
用法・用量プラセボQ3W8コース
その後Q6W5コース(合計約1年間)+dCRT(放射線療法+FOLFOX又はFP)
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザイン多施設共同、無作為化、並行群間、プラセボ対照、二重盲検試験
目標症例数600
適格基準
  • 食道扁平上皮癌、Siewert分類TypeI食道胃接合部腺癌、又は食道腺癌を有する患者
  • dCRTの適応となる患者
  • 資格のある腫瘍内科医/外科医/放射線科医の記録された見解で根治的手術に不適格と判断されていること
  • 治験期間中を通じて腫瘍切除の必要性が見込まれない患者
  • 治験薬初回投与前3日以内のECOG Performance Statusが0又は1の患者
  • 適切な臓器機能を有する患者
  • 投与期間中及び化学療法の最終投与後180日間又はMK-3475の最終投与後120日間のいずれか長い方の期間、以下の項目に同意した男性患者
    無精子が確認されない限り、以下に記載する避妊法の使用に同意すること
    現在妊娠していない妊娠可能な女性との性交時には、男性用コンドーム使用に加えて、女性パートナーの別の避妊法の使用に同意すること
  • 妊娠しておらず、授乳中でなく、かつ以下の条件のいずれかを満たす女性患者
    妊娠可能な女性に該当しない
    又は
    妊娠可能な女性であるが、投与期間中及び化学療法の最終投与後180日間又はMK-3475の最終投与後120日間のいずれか長い方の期間、使用者に依存しにくい極めて有効な避妊法(失敗率は年1%未満)を用いている、又は異性間性交渉をしない(長期的及び継続的に異性間性交渉をしない)ことが患者の日常生活で適切な避妊法である場合は、異性間性交渉をしない、かつ、この期間、生殖を目的とした他人への卵子(卵子、卵母細胞)提供又は自身のための凍結/保存をしないことに同意すること
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 大動脈や気管などの隣接臓器に腫瘍の直接浸潤がみられる患者
  • 無作為割付け前28日以内に栄養チューブ挿入のため以外の大手術、切開生検若しくは重大な外傷を受けた、又は治験期間中に大手術を受ける必要があると考えられる患者
  • 過去3ヵ月間で体重が20%超減少している患者
  • 食道癌に対する化学療法又は放射線療法による治療歴がある患者
  • 過去6ヵ月以内に心筋梗塞が認められた患者
  • 重度のうっ血性心不全を有する患者
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2の薬剤、又は他の補助刺激性若しくは共抑制性T細胞受容体(CTLA-4、OX-40、CD137等)を標的とした薬剤の治療歴を有する患者
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者治験薬を含め、食道癌に対して全身性抗がん剤の投与を受けたことがある患者
  • 抗悪性腫瘍療法を除き、過去に受けた治療による有害事象がすべてGrade1以下又はベースラインまで回復していない患者
  • 免疫不全状態と診断された患者、又は治験薬初回投与前7日以内に長期全身性ステロイド療法(プレドニゾロン換算で10mg/日超)や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • 過去3年以内に進行性又は治療が必要な他の悪性腫瘍を有する患者
    注:根治的治療を受けた皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、上皮内がん(例:上皮内乳癌及び子宮頸部高度扁平上皮内病変)の患者は組入れ可能である。また、根治的治療を受けた限局性前立腺癌の患者も組入れ可能である
  • MK-3475、化学療法剤又はこれらの添加剤に対する重度(Grade3以上)の過敏症を有する患者
  • 過去2年以内に全身性の治療(疾患修飾薬、コルチコステロイド又は免疫抑制剤)を要した活動性の自己免疫疾患を有する患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併、若しくはステロイド投与が必要な(非感染性の)間質性肺疾患/肺臓炎の既往を有する患者
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症を有する患者
  • HIV感染の既往を有する患者
  • B型肝炎(HBs抗原陽性)の既往歴又は活動性のC型肝炎[HCV RNA(定性)陽性]を有する患者
  • 活動性の結核の既往を有する患者
  • 妊娠中又は授乳中の女性患者、若しくはスクリーニング時来院から治験薬最終投与後120日(シスプラチンの投与を受けた患者は180日)までに妊娠を希望する女性患者又はパートナーの妊娠を希望する男性患者
  • 同種組織/臓器の移植歴を有する患者
主要な評価項目有効性/efficacy
主要な評価方法 EFS:無作為割付けからイベント[治療対象の食道癌の局所、領域(regional)若しくは遠隔再発、又は原因を問わない死亡と定義]発現までの期間
副次的な評価項目安全性/safety
副次的な評価方法有害事象
治験薬の投与中止に至った有害事象
予定試験期間2020年8月18日~2020年2月21日

出典:臨床研究等提出・公開システムより