ステージ3C/4の高異型度卵巣がんに対するオラパリブ維持療法の治験
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治験名
統合型ゲノム解析によるトランスレーショナルリサーチを用いた、高異型度卵巣癌患者を対象としたオラパリブ維持療法に関する多施設共同第II相臨床試験
治験概要:
ステージ3C/4の高異型度卵巣がんに対する治験。白金製剤を含む初回化学療法後に奏功が得られたMSBM(BRCA関連バイオマーカー)陽性の患者さんが対象です。
統合型ゲノム解析を用いて、オラパリブ単剤の維持療法とプラセボを比較して有効性を評価する臨床試験です。
登録予定数は、110人。
フェーズは、第2相臨床試験。
試験群:オラパリブ
対照群:プラセボ
で主要評価項目は、無増悪生存期間で評価します。
疾患解説:卵巣がん
疾患の詳細は、「卵巣がんを知る」を参照ください。
治験薬:オラパリブ
オラパリブは、損傷したDNAを修復するPARPと呼ばれる酵素を阻害する分子標的薬です。
正常な細胞でDNAに損傷が起こると、PARPが修復します。PARP阻害薬で修復を妨げても、PARP以外のBRCA1とBRCA2という遺伝子が、たんぱく質を生成し損傷したDNAを修復します。しかし、BRCA1/2遺伝子に変異があると、損傷したDNAの修復が行われないため細胞死を誘導します。
オラパリブは、BRCA1/2遺伝子変異によってDNAが修復できずがん化した細胞に特異的に働き、PARPを阻害することでがん細胞のDNA損傷の修復をさせず細胞死を誘導します。
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
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試験概要詳細
試験の名称 |
統合型ゲノム解析によるトランスレーショナルリサーチを用いた、高異型度卵巣癌患者を対象としたオラパリブ維持療法に関する多施設共同第II相臨床試験 |
試験の概要 |
本治験は、白金製剤を含む初回化学療法後に奏効が得られたMSBM陽性の高異型度進行卵巣癌患者(原発性腹膜癌及び/又は卵管癌を有する患者を含む)を対象に、オラパリブ単剤維持療法の有効性を評価する第II相、無作為化、二重盲検、プラセボ比較対照、多施設共同試験である |
疾患名 |
病期IIIC/IV高異型度卵巣癌患者 |
試験薬剤名 |
オラパリブ150mg錠/100mg錠 |
用法・用量 |
300mgを1日2回(適宜減量) |
対照薬剤名 |
オラパリブ150mgプラセボ錠/100mgプラセボ錠 |
用法・用量 |
300mgを1日2回(適宜減量) |
試験のフェーズ |
フェーズ2(第2相臨床試験) |
試験のデザイン |
無作為化、二重盲検、プラセボ比較対照、多施設共同試験(医師主導治験 |
目標症例数 |
110 |
適格基準 |
- 本治験に関わる固有の手順を行う前に文書による同意が得られている患者
- 同意取得時に20歳以上の患者
- 一次手術(又は生検)により各医療機関の病理組織学的所見に基づき診断が確定した高異型度(漿液性癌、高異型度類内膜癌、未分化癌、又は癌肉腫)進行(FIGO病期IIIC/IV)卵巣癌、原発性腹膜癌及び/又は卵管癌を有する女性患者
- 治験薬投与開始前のcarbohydrate antigen-125(CA-125)測定値において、初回値(ベースライン評価時)が正常上限(ULN)の3倍以下である患者
- 記に定義する通り、治験薬投与前28日以内に測定した臓器機能及び骨髄機能が正常である患者
ヘモグロビン10.0g/dLで、ベースライン評価前28日間に輸血を受けていない
絶対好中球数(ANC)1.5×103/μL
血小板数100×103/μL
総ビリルビン1.5x実施医療機関の正常上限(ULN)
肝転移が生じない限り、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ (SGOT))/アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)); 2.5x実施 医療機関の正常上限。肝転移が生じた場合は、5xULN
コッククロフト・ゴールト式によるクレアチニンクリアランス推定値が51mL/min
- Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG)のPerformance Status(PS)が0~1である患者
- 余命が16週以上と治験責任(分担)医師が判断した患者
- 治験薬に催奇形性があることを理解し、治療中においても避妊を遵守できる患者。妊娠可能女性については、閉経後又は妊娠していない ことを問診等により確認する。 なお、閉経後の定義は以下のいずれかの通りとする
外因性ホルモン治療を中止後1年以上の無月経
女性の閉経後範囲値での黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)の各値が50を下回る
化学療法誘発性の閉経で、最終月経後1年を超えるもの
避妊手術(両側卵巣摘出又は子宮摘出)
- 治療及び予定された来院や診察を含め、試験期間中に治験実施計画書を遵守する意思があり、遵守できる患者
- 任意のオラパリブ感受性に関わるバイオマーカー研究での選択において、患者は以下の基準を満たすものとする
遺伝子研究に対する同意が得られている
イオマーカー研究に対する同意が得られている患者が任意のオラパリブ感受性に関わるバイオマーカー研究への参加を拒否する場合でも、その患者に対するいかなる罰則や利益の損失もない。試験の他の側面から患者が除外されることはない
- 初回化学療法(白金製剤を含む化学療法)を終了した患者。治験責任(分担)医師の判断で、客観的にCR又はPRが得られており、初回化学療法終了後にも、治療後の評価において病勢進行の臨床エビデンスもCA-125レベルの増加も認められない患者。白金製剤を含む初回化学療法終了後に治療後の画像評価において病勢安定
(Stable disease 、以下SD)が認められた患者は、本治験では対象外である
「奏効」は、治験実施計画書を通して使用し、治験責任(分担)医師の判断で、治療後の画像評価において客観的にCR又はPRが得られている患者を示す。客観的CRは、治療後の画像評価においてRECIST(第1.1版)による測定可能病変又は測定不能病変のエビデンスがなく、治療後のCA-125が正常と定義する。PRは、化学療法の開始から終了までに確認された標的病変の径和が、ベースラインの径和に比し30%以上小さくなった場合、又は治療後のCA-125は正常範囲まで減少していないが、RECIST(第1.1版)による測定可能病変のエビデンスがないと定義する
白金製剤を含む化学療法は、原則としてタキサン製剤との併用とする(有害事象等のやむを得ない場合には、タキサン製剤の投与回避を許容する)
白金製剤を含む化学療法のサイクルは、最低6回から最大8回までの患者
併用としても併用療法後の維持療法としても、初回治療期間中にベバシズマブの投与を受けていない患者
化学療法の初回治療期間中に治験薬の投与を受けていない患者
化学療法薬の最終投与後8週以内に患者を無作為化すること(最終投与は最終注射日)
- 年齢:20歳以上
- 性別:女性
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除外基準 |
- 試験の計画及び実施又はそのいずれかに関与している患者(アストラゼネカ社員又は治験実施医療機関の職員のいずれかに適用)
- 過去に本治験に組み入れられ治験薬の投与を受けた患者
- 治験薬投与開始日を起点に過去12ヵ月間に治験薬を用いる他の臨床試験に参加した患者
- 他の組織学的サブタイプ(低悪性度漿液性、低悪性度類内膜、粘膜性、明細胞癌、転移性腫瘍)を有する卵巣癌患者
- FIGO病期I、II、IIIA、IIIBの患者
- 卵巣癌、卵管癌、又は原発性腹膜癌との既往歴(診断歴及び治療歴)がある患者
- 同時原発性子宮内膜癌を有する患者。ただし、以下の両基準に合致する場合を除く
(i)病期< 2
(ii病期IAかIBでグレード1か2の子宮内膜癌、病期IAでグレード3の子宮類内膜癌の診断時に60歳未満、又は病期IAでグレード1か2の子宮類内膜癌の診断時に60歳以上の患者。(漿液性癌、明細胞癌、又は子宮内膜癌肉腫の患者は対象外である)
- オラパリブを含むPARP阻害剤による治療歴がある患者
- 以下を除き、同意取得日から過去5年以内にその他の悪性腫瘍が認められた患者:適切に治療した黒色腫以外の皮膚癌、根治的に治療した
- 子宮頚部上皮内癌、非浸潤性乳管癌、病期1、グレード1の子宮内膜癌、又は根治的に治療され5年以上疾患のエビデンスがない(骨髄病変のない)リンパ腫を含むその他の固形腫瘍。限局性トリプルネガティブ乳癌歴を有する患者は、同意取得日から3年以上前に術後補助化学療法を終了しており、再発性又は転移性の疾患が認められないままであれば、対象となることがある
- ベースライン評価時の安静時ECGにおいてQTcが24時間以内に2回以上> 470msec又はQT延長症候群の家族歴を有する患者
- 治験薬投与前3週以内に全身化学療法又は放射線療法を受けている患者(緩和的理由を除く)
- 既知の強力なCYP3A阻害剤を使用している患者(例:イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル又はコビシスタットでブーストしたプロテアーゼ阻害剤、サキナビル、ネルフィナビル、テラプレビル)又は中程度のCYP3A阻害剤(例:シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ジルチアゼム、フルコナゾール、ベラパミル)。治験薬投与開始前に必要な休薬期間は2週間とする
- 既知の強力なCYP3A誘導剤を使用(例:フェノバルビタール、エンザルタミド、フェニトイン、リファンピシン、リファブチン、カルバマゼピン、ネビラピン及びセイヨウオトギリソウ)又は中程度のCYP3A誘導剤(例:ボセンタン、エファビレンツ、モダフィニル)を使用している患者。治験薬投与開始前に必要な休薬期間は、エンザルタミド、又はフェノバルビタールに関しては5週間、その他の薬剤については3週間とする
- 脱毛症を除く、過去の抗癌治療に起因する持続する毒性(有害事象共通用語規準(CTCAE)グレード2以上)を有する患者
- 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes、MDS)/急性骨髄性白血病(Acute Myelold Leukemia、AML)又はMDS/AMLを示唆する所見を有する患者
- 症候性の管理不良な脳転移を有する患者。脳転移がないことを確認するための画像診断は必要ない。患者は、治験薬投与開始から4週間以上前に開始した場合に限り、試験前及び試験期間中に同一用量のステロイドの投与を受けることができる。脳転移に対する根治的治療を受け、かつ28日間症状が安定している患者以外の脊髄圧迫のある患者
- 治験薬投与前から2週間以内に大手術を要するような病状を合併している場合
- 医学的リスクが高いと考えられる重篤でコントロール不良の疾患、悪性ではない全身性疾患、又はコントロール不良の活動性感染症を有する患者。例えば、これらに限定するものではないが、コントロール不良の心室性不整脈、新たな(3ヵ月以内)心筋梗塞、コントロール不良の重大な発作性疾患、不安定型脊髄圧迫、上大静脈症候群、高解像度コンピュータ断層撮影(High Resolution Computed Tomography、HRCT)スキャン上の広範な両側性の間質性肺疾患、又は同意取得を妨げる精神障害
- 経口薬を飲み込むことができない患者及び治験薬の吸収を妨げる可能性がある胃腸障害を有する患者
- 授乳中の女性
- 易感染性患者。例えば、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)に血清反応陽性であることが確認されている患者
- オラパリブ又はその賦形剤に対する過敏症が確認されている患者
- 血液や他の体液を介した感染リスクによる活動性肝炎(すなわちB型/C型肝炎)を有する患者
- 同種骨髄移植歴又は臍帯血移植歴のある患者
- 治験薬投与開始前の120日以内の全血輸血(濃厚赤血球及び血小板の輸血は可だが、ベースライン評価時前28日間の輸血は不可)
- 初回化学療法終了時の画像検査を含む治療効果判定において、CR/PRに該当しなかった患者
- MSBM陰性の患者
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主要な評価項目 |
無増悪生存期間(PFS) |
主要な評価方法 |
RECIST(第1.1版)による客観的な放射線学的病勢進行 |
副次的な評価項目 |
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副次的な評価方法 |
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予定試験期間 |
2018年10月1日~2022年9月1日 |
出典:臨床研究等提出・公開システムより