相談:喉頭がんで、摂食嚥下機能の低下、体重減少もあります。胃ろう造設という選択肢は?

QOL 副作用

80代の家族(男性)が、1年前にステージ3の喉頭がんで転移はないと診断されました。全摘出術の適応でしたが、左頸動脈閉塞症と右頸動脈狭窄症があったため、全身麻酔不可と言われ、手術を行わず、気管切開後に放射線治療を受けました。治療後、副作用はなく、がんの消失が確認され、気管切開を閉じ退院しました。半年後、右頸動脈狭窄症に対するステント留置術が行われました。

今年の春、喉頭がんの再発が判明しました。全摘適応ではあったものの長時間の全身麻酔は不可と再度言われたため、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)による治療を希望しました。入院し、気管切開、確定診断のための細胞診検査を受けたのですが、その後、肺炎になってしまいました。肺炎による入院長期化、BNCT治療の延期に加え、体力の低下も見られるようになりました。肺炎から回復後も鼻汁が止まらず、気管切開部からの痰も多くありましたが、一旦は退院しました。しかし、退院後も吸引と痰の喀出も多量の日が続いていました。食事のたびに喉に痛みがあるようで量は減りましたが、吸引の必要はなくなり、痰は多いようですが、自分で痰はきれるようになりました。気管切開の内筒洗浄をしてもらい、徐々に良くなっていました。

夏になり、BNCT治療が開始されました。食事量は増えていませんが、大きな副作用なく経過し、がんの縮小も確認されました。しかし、喉の痛み、食後のむせが頻回になり、気管切開部分から食べたものが漏れるようになりました。柔らかくしてもほとんど食べられず、体重が10日間で5kg減少しました。血液検査では特に問題はなかったのですが、その後もむせがひどく、喉の痛みにより食欲はあるものの食べられないようです。薬の内服も困難になったため、つぶして溶かしトロミにしても、むせや喉の痛みが強いようで、それ以降、薬を拒否するようになりました。

点滴を投与し、経腸栄養剤を処方されましたが、拒否。ほとんど飲食せず過ごす状況が続き、先日の血液検査でプレアルブミンの低下がみられたことから、栄養管理のために入院となりました。がんは順調に縮小中とのことです。

こうした状況で、相談が2つあります。1つ目は、嚥下訓練するのに、「経管栄養のため管を入れて訓練」するのと、「胃ろうを造設して嚥下訓練」するのと、どちらが良いのでしょうか。私は、管がなくてもがんが喉にあり、飲食で飲み込み時に痛みがあり、むせがあるのに管も入っていて良好な訓練ができるのか疑問です。むせて誤嚥するのも怖いです。一時的に胃ろうを造設して嚥下訓練をする選択肢にないのでしょうか?2つ目は、気管切開後からの鼻汁と痰は何が原因なのでしょうか。いつ消失するのかわかるものでしょうか。よろしくお願いいたします。

(家族、女性)

回答:治療前から胃ろうを造設し、確実な栄養管理が行われることはある

日本リハビリテーション医学会の「がんのリハビリテーション診療ガイドライン」から、嚥下障害に関する情報のポイントをご案内します。

摂食嚥下障害に対する治療
・治療経過に伴い、粘膜炎による疼痛や唾液分泌障害による口腔内乾燥などが起こった場合も、痛みの起こらない運動を継続することが大切です
・治療中は粘膜炎、吐き気、味覚障害などから、経口摂取が困難となり栄養状態の悪化や治療未完遂となる可能性があるため、治療前から胃ろうを造設し、確実な栄養管理が行われることがあります
・治療6週後時点の体重減少を、経鼻胃管と胃ろうを比較した研究報告が「がんのリハビリテーション診療ガイドライン」に記されています
・その研究報告によると、経鼻胃管が行われた患者さんの方が胃ろう造設を行った患者さんよりも体重減少が進み、手足の太さも経鼻胃管を受けた患者さんの方がより小さくなっていたと記されています
・胃ろうの造設だけでは体重減少を抑えられない可能性があるため、綿密な栄養管理が重要です
・治療早期から胃ろう依存にならないように、粘膜炎に対する疼痛緩和を心がけながら、摂食嚥下障害の程度に合わせた食形態を調整し、可能な限り経口摂取を継続させることが必要です
・そのため、管理栄養士や栄養サポートチームなどと連携した治療が必要とされています

気管切開後からの鼻汁と痰に関しては、治療法や患者さんの個別の病態によりさまざまな原因が考えられます。...

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