相談:肺がんの再発で転移の疑い、タグリッソによる治療効果やその後の治療を知りたい

治療 副作用 生活

1年前、肺腺がんのステージ1bと診断され手術を受けました。手術後、定期検診で転移が疑われ、タグリッソによる治療を提案されています。 転移が疑われる段階で、タグリッソによる治療を行うことで治癒を目指すことはできますか。この段階で、どの程度の効果があるのでしょうか。この薬が効かなくなった後の治療は、抗がん剤でしょうか。できれば、抗がん剤による治療は望んでいません。 もちろん治癒を目指した治療が一番ですが、ボロボロになってまで生きようとは考えていません。入院などは最低限にし、亡くなるまで働きながら生きていきたいと考えています。

(本人、男性)

回答:タグリッソは第3世代EGFR-TKI、化学療法は必要以上に恐れずに

タグリッソは、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療薬として推奨されているEGFR-TKIという薬の1つです。第3世代のタグリッソと第1世代のEGFR-TKIを比較した臨床試験では、有効性が高く副作用も軽い傾向でした。...


タグリッソが薬剤耐性となり効果がなくなったあとは、現在の診療ガイドラインでは、殺細胞性抗がん剤による治療が推奨されています。まだ、結果はでていませんが、タグリッソの薬剤耐性に対する臨床試験も行われています。(※回答当時の情報)

薬物療法を受ける患者さんに対して医師が述べている記事ががんプラスにありますので、内容を抜粋してご紹介します。(詳しくは下記参考文献をご参照ください)

「よりよい生活を、できるだけ長く送ることを目標に、適切な支持療法のもとでその人に合った副作用対策を工夫し、化学療法が行われます。がんと長く付き合っていくための化学療法です。したがって、副作用を我慢してまで治療を優先する必要はありません。副作用がきつかったら、休薬することもあるし、薬の量を減量することもあります。また、家族との旅行の予定があるとか、誕生日のお祝いがあるといった場合には、投薬の時期をずらすことも考えます。そのようにして、生活の質を低下させないようにしながら、治療を進めていくことが大切です。ただ、化学療法と生活の質に関しては、多くの人が誤解しています。抗がん剤は副作用が強いので、化学療法を受けると生活の質が低下してしまう、と考えている人が多いのですが、必ずしもそうではありません。がんに伴う症状がある人は、化学療法を行ってがんが縮小すると、症状が軽減して楽になります。がんが大きい場合や、がんに伴って痛みなどの症状がある場合には、化学療法をしっかり行って、がんを縮小させたほうが、症状が楽になりますし、それに伴って生活の質も改善することが多いのです。もちろん、副作用を我慢してまで治療を頑張る必要はありませんが、化学療法を受けないほうが生活の質を高く保てる、と考えるのは正しくありません。化学療法を必要以上に恐れず、しっかり行うことが、よい状態で生存期間を延ばすことにつながります」

参考文献
肺癌診療ガイドライン
https://www.haigan.gr.jp/guideline/2019/1/2/190102070100.html#7-1-2

がんプラスニュース「タグリッソの新たな獲得耐性メカニズムを示すデータを発表」
https://cancer.qlife.jp/news/article7186.html

切除不能の進行・再発大腸がんの薬物療法(化学療法)と副作用対策
https://cancer.qlife.jp/colon/colon_feature/article6093.html



他のがん相談は、がんプラス公式アカウントの限定記事として読めます。

友だち登録はこちらから

https://page.line.me/125iynls?openQrModal=true

医師に相談したい場合、現役医師が回答する「AskDoctors(アスクドクターズ )」の利用もおすすめです。

アスクドクター