ロズリートレク、がん種を問わずNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんで承認

文:がん+編集部

 NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんに対する治療薬としてエヌトレクチニブ(製品名:ロズリートレク)が、世界に先駆け日本で承認されました。

成人患者の約6割、小児患者で5例中4例が奏功

 中外製薬株式会社は6月18日に、エヌトレクチニブがNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんを効能・効果として厚生労働省に承認されたことを発表しました。今回の承認は、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんの成人患者さん51名を対象としたSTARTRK-2試験の結果に基づくものです。小児の有効性評価は海外第I/Ib相臨床試験STARTRK-NG試験に登録されたNTRK融合遺伝子陽性の固形がんの患児5名で行われました。STARTRK-2試験では、奏効率56.9%、STARTRK-NG試験では5例中4例で奏功が認められました。

 NTRK融合遺伝子は、NTRK遺伝子と他の遺伝子が転座し融合することでできる異常な遺伝子です。NTRK融合遺伝子は、がん細胞の増殖を促進すると考えられています。NTRL融合遺伝子の発生はまれですが、乳児型線維肉腫、神経膠腫、神経膠芽腫、びまん性橋グリオーマ、先天性中胚葉性腎腫、悪性黒色腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、子宮肉腫、その他軟部腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、乳腺分泌がん、唾液腺分泌がん、原発不明がん、肺がん、大腸がん、虫垂がん、乳がん、胃がん、卵巣がん、甲状腺がん、胆管がん、膵臓がん、頭頸部がんなどで確認されています。

 エヌトレクチニブは、ROS1融合タンパクおよびTRK(TRKA/TRKB/TRKC)融合タンパク質を選択的に阻害する分子標的薬です。ROS1融合遺伝子から合成されるROS1融合タンパク質や、NTRK融合遺伝子から合成されるTRK(A/B/C)融合タンパク質は、増殖因子がなくてもがん化の原因やがんの増殖を活性化させます。エヌトレクチニブは、これらの融合タンパク質を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。

 同社の上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康氏は「当社が推進してきた個別化医療の一つの成果として、ロズリートレクが極めて稀に存在するNTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対する治療薬として、がん種および年齢を問わず世界に先駆けて日本で承認を取得できたことを嬉しく思います。ロズリートレクが、患者さん個々の遺伝子変異に対応した最先端の個別化医療の薬剤として治療に貢献できるよう、適正使用の推進に取り組んでまいります」と、述べています。