iPS細胞由来のCAR-T細胞療法「iCART」、臨床試験に向けた新たな取り組み開始

文:がん+編集部

 初のiPS細胞を使ったCAR-T細胞療法「iCART」について、臨床試験に向け新たなプログラムが始まります。

新たな免疫療法の短期間、低コストでの提供実現が目標

 京大iPS細胞研究所(以下CiRA)および武田薬品工業株式会社は7月16日、iPS細胞由来のCAR-T細胞療法「iCART」に関する研究成果が、両者の共同研究プログラム「T-CiRA」から武田薬品に継承されたことを発表しました。first-in-human(FIH)試験を2021年に実現するため、新たに「iCARTプログラム」を開始することも明らかになりました。

CAR-T療法は、免疫細胞の一種であるT細胞の遺伝子を、特定のがん細胞を認識して破壊することができるように改変する、免疫療法の一種。各患者さんの血液からT細胞を取り出して、遺伝子を改変するため、時間と費用がかかります。

iCARTは、CiRAが作製した「再生医療用iPS細胞ストック」をもとにクローン化したiPS細胞を使うため、すぐに提供可能です。非臨床試験では、高い抗腫瘍効果が確認されています。1種類のiPS細胞マスターセルバンクから、均一な細胞製剤を大量生産する製法を開発することで、現行のCAR-T細胞療法より低価格で患者さんに提供することを目標としています。

iPS細胞の開発者でCiRA所長の山中伸弥教授は「iCARTプログラムは、私たちのT-CiRA共同研究の価値を明らかに示すものです。本プログラムではiPS細胞技術を応用した創薬における新たなアプローチを開発し、有望なプログラムを武田薬品に引き継ぐための橋渡しを行うことで、臨床開発と実臨床での使用に向けた開発を加速することができます」と、述べています。