DS-6051b、ザーコリ耐性変異に対する新たな有効薬剤となるか

文:がん+編集部

 次世代ROS1/NTRK阻害薬として創製された「DS-6051b」が有効である可能性が実験によって確認されました。試験管内、動物実験の段階です。

ROS1/NTRK融合遺伝子陽性肺がんを対象に臨床試験中

 がん研究会は8月9日、次世代ROS1/NTRK阻害薬として創製されたDS-6051bが、有効である可能性を試験管内および動物実験で確認したと発表しました。同研究会がん化学療法センター基礎研究部の片山量平部長らの研究グループと、同薬を創薬した第一三共の共同研究によるものです。

 進行非小細胞肺がんの約1%に見つかる強力ながん遺伝子「ROS1融合遺伝子」は、ALK/ROS1阻害薬のクリゾチニブ(製品名:ザーコリ)が臨床試験において非常に高い効果を示し、臨床で使用されています。しかし、ほとんどの症例において1年から数年以内にクリゾチニブに対する耐性が起こり、再増悪してしまうことが問題となっています。その耐性機構で最も多く認められているのが、ROS1におけるG2032R変異などで、この耐性変異に対する有効な薬剤がないのが現状です。

 DS-6051bは、ROS1チロシンキナーゼとNTRKチロシンキナーゼ(NTRK1、NTRK2、NTRK3)を低濃度で阻害することで、ROS1/NTRK融合遺伝子を有する腫瘍に対して縮小効果を発揮します。研究グループは、DS-6051bが選択制の高いROS1/NTRK阻害薬であることを試験管内実験で明らかにするとともに、ROS1融合遺伝子陽性肺がんのヒト細胞株をマウスに移植した動物実験でも抗腫瘍効果を確認しました。

 さらに、クリゾチニブの薬剤耐性を示す5種類のROS1変異に対して、DS-6051bの効果を評価しました。その結果、5つ中4つの変異に対して低濃度で阻害することがわかりました。特に、ROS1融合遺伝子の耐性変異G2032Rを過剰発現した細胞を移植したマウスに、DS-6051bを経口投与したところ、長期にわたる腫瘍縮小の維持が確認されました。

 今回の研究結果は、ROS1/NTRK融合遺伝子陽性肺がんの将来的な治療開発に貢献できる可能性を示唆するものです。現在、DS-6051bの臨床試験が行われており、有効性と安全性の評価中です。