Selpercatinib、RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がんの治験で有効性を確認

2019/10/08

文:がん+編集部

 化学療法の治療歴があるRET融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに対する、Selpercatinib (LOXO-292)の治験で、68%の奏効率と効果の持続性が確認されました。

前治療に関わらず、同様の奏効率を示す

 米イーライリリー社は9月9日、経口分子標的薬Selpercatinib (LOXO-292)を評価するLIBRETTO-001試験のデータを発表しました。

 LIBRETTO-001試験は、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴のあるRET融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者さん531人を対象に行われました。Selpercatinib (LOXO-292)が投与された最初の105人患者さんの奏効率は68%でした。この105人のうち、抗PD-1または抗PD-L1抗体薬による治療歴のある患者さんは55%、少なくとも1つのマルチキナーゼ阻害薬による治療歴のある患者さんが48%。奏効率(ORR)は前治療に関わらず同様の奏効率(ORR)がみられました。RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの患者さんの半数では脳転移がありますが、105人のうちの脳転移がある患者集団でも、中枢神経系に対する奏効率が91%を示しています。2019年6月17日時点で、奏効持続期間の中央値は20.3か月、無増悪生存期間の中央値は18.4か月でした。

 安全性に関しては、治療に関連する毒性により治療中止に至った患者さんは9人で、最も多く見られた有害事象は、口喝、下痢、高血圧症、肝酵素の上昇、倦怠感、便秘、頭痛でした。

 治験統括医師である Alexander Drilon医師は「このように症例数の多い試験で示された Selpercatinib の奏効率、効果の持続性、中枢神経系への効果、そして安全性は大きな期待につながります。さらに、今回の結果は、RET融合遺伝子の異常が、EGFR/ALK/ROS1遺伝子の異常と同じく臨床的に標的治療のターゲットとなり得るドライバー遺伝子異常であることをさらに裏付けることになります。現在、RET融合遺伝子陽性 NSCLC患者に対するドライバー遺伝子異常を標的とした治療はアンメットニーズですので、私たちは今回のデータに勇気づけられました」と、述べています。