分子標的薬Selpercatinib、RET陽性の甲状腺がんに対する治験で肯定的な結果

2019/10/28

文:がん+編集部

 甲状腺がん対象で、前治療歴のあるRET遺伝子変異陽性患者さんへの治験において、分子標的薬「Selpercatinib」(LOXO-292)による肯定的な結果が明らかになりました。

甲状腺髄様がん患者55人の奏効率は56%

 米イーライリリーは9月29日、RET遺伝子変異陽性の甲状腺がんに対する、分子標的薬Selpercatinibの単剤療法を評価したLIBRETTO-001試験の結果を発表しました。

 LIBRETTO-001試験は、カボザンチニブまたはバンデタニブ(製品名:カプレルサ)による前治療を受けたRET遺伝子変異陽性の甲状腺がんに対し、Selpercatinibを投与する第1/2相試験です。治験に登録された全531人のうち、甲状腺髄様がん患者さん55人を解析したところ、奏効率は56%でした。安全性に関しては、治療関連の有害事象により治療中止に至った患者さんは9人(1.7%)でした。治療との関連性にかかわらず最も多くみられた有害事象は、口喝、下痢、高血圧症、肝酵素の上昇、倦怠感、便秘、頭痛でした。

 SelpercatinibはRETキナーゼに異常があるがん患者さんの治療薬として開発中の分子標的薬。予想される薬剤耐性に対しても阻害するように設計されています。RET融合遺伝子とRET遺伝子変異は、複数のがん種で認められています。

 同社のオンコロジー事業部のプレジデントであるAnne Whiteは「Selpercatinib がRET遺伝子異常陽性の甲状腺がん患者さんの治療に有意義な進歩をもたらす可能性が示されました。RET遺伝子がこの疾患のがん遺伝子であることは何十年も前から知られており、Selpercatinibの開発プログラムは、当初からこれらの患者さんにフォーカスしていました。今回のデータにより、Selpercatinibは一次治療においても再発においても結果を示し、特にこれまで有望な治療選択肢を待ち望んでいた患者さんに対して、私たちのビジョンを実現することができました」と、述べています。