リムパーザとベバシズマブの併用療法、進行卵巣がんの治験で良好な結果

2019/10/29

文:がん+編集部

 新たに進行卵巣がんと診断された患者さんを対象とした治験で、オラパリブ(製品名:リムパーザ)+ベバシズマブ(製品名:アバスチン)併用療法が、無増悪生存期間を延長しました。

全患者の解析により、病勢進行または死亡リスクが41%減少

 英アストラゼネカと米MSDは9月28日、進行卵巣がんを対象とした第3相PAOLA-1試験の結果を発表しました。オラパリブ+ベバシズマブ併用療法が、標準治療であるベバシズマブ単剤療法と比較して、無増悪生存期間が統計学的有意かつ臨床的に以後のある延長が認められました。

 PAOLA-1試験は、新たにステージ3~4期の高異型度漿液性または類内膜卵巣がん、卵管がんまたは腹膜がんと診断され、プラチナ製剤ベースの化学療法とベバシズマブによる1次治療により完全または部分奏効を示した患者さんを対象とした臨床試験で、初回治療後の維持療法としてオラパリブ+ベバシズマブ併用療法が評価されました。

 解析の結果、患者さんの遺伝子変異の状態や過去の手術結果を問わず、オラパリブ+ベバシズマブ併用療法は、ベバシズマブ単独療法と比較して病勢進行または死亡リスクを41%減少(ハザード比:0.59)しました。また、無増悪生存期間の中央値は、併用療法が22.1か月、単独療法が16.6か月でした。試験開始から2年経過時点で、病勢進行が認められなかった患者さんの割合は、併用療法が46%、単独療法が28%でした。

 治験参加者のうちBRCA遺伝子変異陽性患者さんのみを解析したところ、併用療法は単独療法と比較して、病勢進行または死亡リスクを69%減少(ハザード比:0.31%)したこともわかりました。また、BRCA遺伝子変異陽性を含むより広範囲な相同組換え修復異常(HRD)のある新たに進行卵巣がんと診断された患者さんの約半数では、併用療法は病勢進行または死亡リスクが67%減少(ハザード比:0.33)しました。

 PAOLA-1試験の治験責任医師でCentre Léon Bérardの臨床腫瘍医、GINECOグループの代表者でもあるIsabelle Ray-Coquard氏は「新たに進行卵巣がんと診断された患者さんの維持療法を含む初回治療の目的は再発を遅らせることです。しかしながら残念なことに、再発リスクは高く、3人に2人の割合で最初の診断から3年以内に再発してしまいます。PAOLA-1試験では、リムパーザとベバシズマブの併用療法の有効性が示され、進行卵巣がん患者さんの初回治療後の維持療法に関する現在の治療を変える可能性があります」と、述べています。