タグリッソ、EGFR陽性非小細胞肺がんの治験で全生存期間を改善
2019/10/30
文:がん+編集部
局所進行、転移性EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対するオシメルチニブ(製品名:タグリッソ)の治験の最終結果が発表されました。統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間の改善を示しました。
中枢神経転移のある患者さんの病勢死亡リスクを52%減少
アストラゼネカは9月28日、第3相国際共同FLAURA試験の全生存期間の最終解析結果を発表しました。
FLAURA試験は、前治療歴のない局所進行または転移性EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さん556人を対象とした二重盲検無作為化試験です。一次治療として、オシメルチニブと、ゲフィチニブ(製品名:イレッサ)、エルロチニブ(製品名:タルセバ)を比較し、有効性と安全性が評価されました。
最終解析の結果、オシメルチニブは、ゲフィチニブとエルロチニブに比較して、全生存期間については統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました(ハザード比 0.799 、95%信頼区間0.641-0.997、p値=0.0462)。また、3年経過時点でも一次治療としてオシメルチニブが投与されていた患者さんは28%でしたが、ゲフィチニブとエルロチニブが投与されていた患者さんで治療継続されていたのは9%でした。さらに、中枢神経系疾患の病勢進行リスクがオシメルチニブでは52%減少し(ハザード比0.48、95%信頼区間0.26-0.86、p値=0.014)、中枢神経系転移のある患者さんの無増悪生存期間も、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある延長を示しました。
オシメルチニブの安全性に関しては、これまで行われた試験の安全性プロファイルと一致していました。グレード3以上の有害事象を発現した患者さんは、オシメルチニブで42%、ゲフィチニブとエルロチニブで47%でした。オシメルチニブで発現した主な有害事象は、下痢、発疹、爪障害、皮膚乾燥、口内炎、倦怠感、食欲減退でした。
米アトランタ州、エモリ―大学ウィンシップがん研究所教授であり、FLAURA試験の治験責任医師であるSuresh S. Ramalingam氏は「FLAURA試験の結果から、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さんに対する一次治療薬としてのオシメルチニブを支持するさらなるエビデンスが確認されました。一次治療薬としてオシメルチニブを投与された患者さんのうち28%が、3年経過時点においても一次治療を継続できているという事実は、対照群では9%であったことを鑑みると非常に素晴らしい結果です」と、述べています。