テセントリク、未治療の進行または転移性尿路上皮がんの治験で良好な成績

2019/11/01

文:がん+編集部

 未治療の局所進行または転移性尿路上皮がんに対し、アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)単剤、または化学療法を併用した治験の結果を発表。病気の悪化または死亡リスクを減少させました。

テセントリクと化学療法併用、無増悪生存期間を有意に延長

 スイスのロシュ社は9月30日、アテゾリズマブの第3相IMvigor130試験の良好な結果を発表しました。

 IMvigor130試験は、未治療の局所進行または転移性の尿路上皮がん患者さん1,213人を対象に、一次治療としてアテゾリズマブ+化学療法併用、アテゾリズマブ単剤療法を、化学療法単独と比較した多施設共同ランダム化部分盲検試験です。対象患者さんをアテゾリズマブ+化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ゲムシタビン)併用、アテゾリズマブ単独、化学療法+プラセボの3グループにわけ、無増悪生存期間と全生存期間で評価されました。

 アテゾリズマブと化学療法の併用は、化学療法単独と比較して統計学的に有意に無増悪生存期間を改善しました(中央値8.2か月/6.3か月、ハザード比0.82、95%信頼区間0.70-0.96、p値=0.007)。ITT解析集団において、全生存期間も改善の兆候が認められましたが、中間解析時点では、統計学的に有意な差は認められませんでした(中央値16.0か月/13.4か月、ハザード比0.83、95%信頼区間0.69-1.00)。また、PD-L1高発現の患者さんに対するアテゾリズマブ単独投与で、全生存期間の改善の兆候は認められましたが、本成績は検証的な位置づけではなく、フォローアップは次の解析まで継続されます。

 安全性に関しては、これまで認められている安全性プロファイルと一致しており、併用療法における新たな安全性シグナルは認められませんでした。グレード3~4の有害事象は、アテゾリズマブ+化学療法併用で85%、化学療法単独で86%。治療中止に至った有害事象は、それぞれ11%、7%に認められました。