ベージニオ+フルベストラント、HR陽性HER2陰性の再発乳がんの治験で全生存期間を延長
2019/11/11
文:がん+編集部
アベマシクリブ(製品名:ベージニオ)が、フルベストラントとの併用で、ホルモン受容体陽性HER2陰性の進行乳がんに対し、全生存期間を有意に延長。
全生存期間の延長と共に、化学療法開始を遅らせる効果も
米イーライリリーは9月29日、HR陽性HER2陰性の進行再発乳がんに対するMONARCH2試験の結果を発表。アベマシクリブ+フルベストラント(製品名:フェソロデックス)併用療法が、フルベストラント単剤と比較して全生存期間を有意に延長しました。
MONARCH2試験は、内分泌治療中または治療後に進行または転移した女性患者さん669人を対象とした臨床試験です。アベマシクリブ+フルベストラント併用群(以下、アベマシクリブ併用群)と、フルベストラント+プラセボ群(以下、プラセボ群)に2対1の割合で無作為割り付けられ、病態の進行または、許容不能の毒性が認められるまで連続投与されました。
その結果、プラセボ群の全生存期間が37.3か月に対し、アベマシクリブ併用群の全生存期間は46.7か月で、有意に延長が認められました。本試験には閉経前後の患者さんが含まれており、サブグループ解析においても結果は一致していました。また、内分泌治療後、早期にがんが再発・増悪した患者さんや肝臓や肺などに転移していた患者さんでも同様の傾向が認められました。また、化学療法開始までの中央値は、アベマシクリブ併用群で50.2か月、プラセボ群で22.1か月。これらのデータは、併用によって化学療法開始を遅らせることができたことを示しています。
安全性に関しては一次解析と一貫しており、長期フォローアップ(中央値 47.7か月)において、安全性に関する新たな兆候は観察されませんでした。解析時点で、アベマシクリブ群では 17%の患者さんが治験治療を継続したのに対し、プラセボ群では4%でした。
転移乳がんの患者団体Metastatic Breast Cancer Networkの代表であるShirley Mertz氏は「患者にとって進行再発乳がんの診断を受けることは、自分の病気は治療可能であるけれども治癒が難しいことを知ることになります。これは、この疾患とともに生きる私たちにとって悲しい報せです。なぜなら、私たち一人ひとりが愛する家族や友人とともに歩むこの先の長い人生があり、達成したい目標を持っているからです。MONARCH2試験の結果がHR+かつHER2-の進行再発乳がんの女性患者に対し全生存期間の有意な延長を示したことは、私たちにとって大いに喜ばしく歓迎すべきニュースです。このタイプの乳がんの女性にとって、自らの夢を実現するためのより長い時間をもたらす可能性のある治療選択肢になるのです」と、述べています。
また、バーモント大学がんセンター血液/オンコロジー部門乳腺腫瘍科教授で MONARCH2試験の治験責任医師であるPeter A. Kaufman医師は「この数年で CDK4および6阻害薬は HR+、HER2-の進行乳がんの治療に変化をもたらしましたが、私たちは、このクラスのどの薬剤が進行乳がんの患者さんの全生存期間を有意に延長するという極めて重要な目標を達成するのかをようやく理解し始めたところです。MONARCH2試験から得られたこれらの重要な新しい知見はベージニオのベネフィットをさらに示すものであり、内分泌治療中または治療後に増悪した患者さんも含め、最適な治療を患者さんに提供することを目指すオンコロジストにさらなる情報を提供するものです」と、述べています。