バベンチオ、局所進行または転移性の尿路上皮がんの治験で全生存期間を延長

2020/02/14

文:がん+編集部

 アベルマブ(製品名:バベンチオ)が局所進行または転移性の尿路上皮がんに対する治験で、全生存期間を有意に延長しました。

PD-L1発現にかかわらず、全生存期間を延長

 独メルクと米ファイザーは1月6日、JAVELIN Bladder 100試験の中間解析の結果を発表しました。

 JAVELIN Bladder 100試験は、白金製剤を含む化学療法後に病勢進行が認められなかった局所進行または転移性の尿路上皮がんを対象とした国際多施設共同、無作為化、非盲検、並行群間比較試験です。700人の対象患者さんに対し、維持療法としてアベルマブとベストサポーティブケア(BSC)併用と、BSC単独を比較しました。主要評価項目として全患者さんとPD-L1陽性の患者さんの全生存期間で、副次的評価項目は各集団の無増悪生存期間、抗腫瘍効果、安全性、薬物動態、免疫原性、バイオマーカー、患者報告アウトカムなどでした。

 中間解析の結果、どちらの集団でも統計学的有意に全生存期間の延長が認められました。安全性に関して、アベルマブ単独療法で認められたものと一致していました。

 米ファイザーのグローバル製品開発オンコロジー領域・最高開発責任者Chris Boshoff氏は次のように述べています。

 「アベルマブは進行性尿路上皮がんに対するファーストライン治療薬として、臨床試験で統計学的に有意な全生存期間延長が認められた最初の腫瘍免疫治療薬です。JAVELIN臨床開発プログラムで得られた最新の肯定的なデータは、アベルマブの泌尿器がんに対する一連の治療エビデンスに追加されることになります。これらの結果を基に、規制当局との協議を進めてまいります」

 また、独メルクのエグゼクティブ・バイス・プレシデントでバイオファーマ・ビジネス研究開発部門のグローバル責任者であるLuciano Rossetti氏は次のように述べています。

 「本臨床試験で行ったアベルマブを用いた維持療法はこれまでにない概念であり、本治療によって、局所進行または転移性の尿路上皮がん患者さんの全生存期間はが有意に延長されましました。既存の標準療法を大きく改善する結果であったため、このアベルマブによる治療は標準療法として定着する可能性があると考えています」